京都府立医科大学病院では、独自の積極的なコロナ対策も行っている。重症者を収容できる感染病棟では人工呼吸器やECMO(エクモ/体外式膜型人工肺)が使用可能であり、吉田医師が専門とする内視鏡部門では新型コロナウイルス感染者の緊急的な内視鏡検査に対応すべくマニュアルや機器などの設備も整っている。

 外来では病院の出入り口を一つにすることで全患者をサーモグラフィーで監視し発熱者のチェックやその対応も行っており、病棟での感染リスクを減らすためにどうしても必要な手術のみにトリアージを行う。

 手術患者へは2週間前からの外出制限、PCR検査の実施による感染の有無の把握も実施。また面会謝絶を原則とし、外部からのウイルスの侵入も防いでいる。救急車はコロナ患者対応を優先して感染リスクを考慮し、あえて一般の救急車は受け入れず、発熱している患者は救急部や感染部が専門的に診療するなどの対策をしている。

■いかにコロナと共生するか……積極的な治療薬の承認が望まれる

 そんな中、治療薬の承認という明るい話もある。米国ではすでに承認され、近日中に使用が始まるという「レムデシビル」(エボラ出血熱の治療薬)。日本でも、7日に承認の見通しが立ち、「アビガン」も治験が急がれている。吉田医師は治療薬の承認に、賛意を示す。

「この感染症で大事なのは、重症患者を死なせないことと増やさないことです。今後、このウイルスはインフルエンザのように共生し、一生付き合い続ける感染症になるかもしれません。一方で経済活動も、このまま制限し続けるわけにはいきません。そのために有効な治療薬が、早急に望まれます。医療崩壊を起こさないためには、感染者を一気に増やさない必要があり、感染が少しずつ広がり最終的に人口の60~70%の人にまで広がれば集団免疫を獲得することができ、感染が広がらなくなります。もちろんそうなる前に重症になることを防ぐ治療薬が必須です。または多くの方が感染しなくてもすむようなワクチンの登場も期待されます」

 現時点では軽症はアビガンで、重症はレムデシビルという選択肢があり、今後さらに有効な薬剤が登場してくれば、明るい兆しが見えるという。

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いま大切なのは医療態勢を守ること