子どもにどんどん話をさせて、どんどん自信をつけさせて。これを続けていたら、小学生のうちにポルトガル語が話せるようになったり、いつのまにかひとりで料理ができるようになったり。おもしろかったですね。

 新聞を読む。ニュースを見る。そして時事問題はきちんと把握しておくということも幼い頃からしつけました。確か第一次オイルショックの頃(1973年)だと思うのですが、娘の夕飯をお願いしていたレストランが、メニュー全品の値上げをしたことがありました。すると娘がレジのところで、「石油価格高騰につき、便乗値上げ!」と言ったので、店主が「まいったなあ。じゃあ今日だけ、いままでの値段でいいよ」と言ったという話をあとから聞いて、大笑いしました。

 どんなお父さんも、どんなお母さんも、子どものことはかわいいものです。でも子どもは、いつまでも子どもではない。ひとりでできることは、どんどんひとりでさせていったほうがいい部分もあると思います。

 あまり親が子どもにピタッとくっついてサポートを繰り返してしまうと、親離れ、子離れのタイミングが難しくなってしまうこともあるでしょうから。

 私の元には昨年、曽孫が生まれました。ひとりでハイハイしていても、時々姿勢をくずして、真っ赤になって泣くことがあります。でも私はなるべく遠くから見ているようにしています。誰も手伝ってくれないことがわかると、ひとりでまた元通りにハイハイを始めます。

ただ、私のことを「キッ」とにらみつけて。この気の強さは、いったい誰に似たのでしょうね。

【しなやかに生きる知恵】
親が思うほど子どもはいつまでも子どもではない

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小林照子

小林照子

小林照子(こばやし・てるこ)/美容研究家。ヘア&メイクアップアーティスト。1935年、東京都生まれ。東京高等美容学院を卒業後、小林コーセー(現・コーセー)に美容部員として入社。数々の大ヒット商品を手掛け、85年、同社初の女性取締役に就任。その後独立・起業し、美容ビジネスの企業経営や後進を育てる学校運営をおこなっている。『人生は、「手」で変わる。』(朝日新聞出版)、『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)、『小林照子流 ハッピーシニアメイク』(河出書房新社)ほか著書多数

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