コロナで突然の解雇「不安で吐きそう」という52歳男性に、鴻上尚史が吐露した苦しい胸の内と「絆と感謝と敬意」では乗り越えられない現状の悲惨さ (3/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

コロナで突然の解雇「不安で吐きそう」という52歳男性に、鴻上尚史が吐露した苦しい胸の内と「絆と感謝と敬意」では乗り越えられない現状の悲惨さ

連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」

このエントリーをはてなブックマークに追加

 それでも、今回はかなり苦しい状況だと頭を抱えています。

 ですから、ルーペさん。ルーペさんへの「具体的でリアルなアドバイス」どころか、僕自身が、どうやってこの時期を乗り越えようかと悩んでいるのです。

 すみません。回答じゃないですよね。

 政府のコロナ対策に対して、思うところはたくさんあります。

 僕はずっと、「自粛要請と休業補償はセット」と言い続けています。イギリスの80%の給与補償をはじめとして他の先進諸国の例を、何回出したか分かりません。

 それはもちろん演劇業界だけではなく、いろんな分野の人がみんな同時に声を上げればいいと思っています。

 飲食業界もホテル業界も冠婚葬祭業界も、自粛を要請されながら充分な補償をまだ受けられていないありとあらゆる業界と国民は、堂々と声を上げるべきだと思っているのです。

 この原稿を、僕は「緊急事態宣言」が延長された2日後、5月6日に書いているのですが、現時点では政府は、「Go To キャンペーン(仮称)」という、コロナ収束後の経済政策として、旅行券や食事券など1兆7000億円の予算を組んでいます。

 政府は、国民が倒産や廃業、自己破産や自死することなく、コロナをやりすごせると思っているのでしょうか。お金はコロナ後ではなく、今、使うべきだと思います。

 僕の知り合いのプロデューサーは、3年間実質無利子のコロナ融資を金融公庫の支店に申し込みに行ったら、「今、4000件の申し込みがたまっています」と、疲れ切った顔の担当窓口の人に言われたそうです。3週間も前の話です。

 政府は、充分な補償を用意していると強弁しようとしますが、手続きが複雑で、条件が複雑で、不十分で、時間がかかりすぎています。

 ルーペさん。こんな文章を読んでも、「それが俺となんの関係があるんだ?」と思われるかもしれません。

 でも、これだけは言わせて下さい。「和牛券」に国民があきれ、反発したからこそ、10万円の給付になったのだと思うのです。納税者として、要望することと悪口は違います。事実を追及することと、罵倒や中傷も違います。


トップにもどる dot.オリジナル記事一覧

あわせて読みたい あわせて読みたい