現役引退後、08年に西武・渡辺久信監督の要請で1軍打撃コーチに就任。いきなり日本一と、ここでも幸運を呼び込むが、5月7日の日本ハム戦(西武ドーム)では、チームのサヨナラ勝ちに喜び過ぎて負傷退場という前代未聞の珍事を起こしている。

 3対3の同点で迎えた9回裏、西武は2死満塁で片岡易之がダルビッシュ有から左前にサヨナラタイムリー。

 球界のエース・ダルビッシュにシーズン初黒星をつけるという大殊勲。ヒーローとなった片岡目がけて西武ナインが駆け寄る。大久保コーチも大喜びでベンチを飛び出し、その輪に加わったまでは良かったが、なんと、苦悶の表情で両足を押さえながら、その場にうずくまってしまった。右太もも裏に肉離れを起こしたのだ。

 ブラゼルと細川亨に担がれて退場する羽目になった大久保コーチは「左足も吊った状態」と両足の激痛に顔を歪めた。

 実は、西武は前日の日本ハム戦でも、ボカチカのサヨナラ本塁打で劇的勝利を収めており、大久保コーチは本塁付近で何度も飛び跳ねて大はしゃぎ。すでにこの時点で足に異変が起きていたようだ。連日の興奮パフォーマンスが108キロ(当時)の巨体を支えきれなくなって起きた悲劇……。その後、スロージョギングで体重減少に努めたという。

 12年に楽天の1軍打撃コーチとなり、翌13年から2軍監督に就任した大久保氏は14年、星野仙一監督が腰の手術で戦線離脱したことから、7月に監督代行となった。

 楽天は前年の優勝チームとあって、監督はオールスターで全パの指揮をとるのが通例だが、「オレは代行だから、監督の上に行くようなことは違うと思う」と辞退。最終的にロッテの伊東勤監督が全パの指揮をとり、自身はコーチとしてベンチ入りした。

 そして、球宴の試合中に、またしてもハプニングが起きる。7月18日の第1戦(西武ドーム)、7回までに0対6とリードされた全パのベンチで歩行中の大久保コーチが最前列に座っていた今宮健太(ソフトバンク)の足につまづいて、こけそうになったのだ。「気をつけろよ」とにらみつける大久保コーチに、笑ってごまかそうとする今宮。このユーモラスな映像はネットで拡散され“今宮足かけ事件”として反響を呼んだ。後に本人は「これはベンチを盛り上げるためにわざと健太に足を引っかけられたふりをしただけだよ!」とツイートしている。

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自然現象がもたらした珍ハプニング