「東京五輪では金メダルを目指します」と話した足立選手
「東京五輪では金メダルを目指します」と話した足立選手

阿武川のカヌー場
阿武川のカヌー場

市場コーチ(右)と足立選手
市場コーチ(右)と足立選手

 新型コロナウイルスの感染拡大により、スポーツ界は過去に例を見ないほど大きな困難に直面している。

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 プロ野球は6月中旬から下旬までの開幕を目指しているが、当面の間は無観客試合となる可能性が高く、収入の激減は避けられないだろう。また、Jリーグは今年2月の公式戦中断から3カ月がたった今も再開日を設定する段階には至っていない。4月下旬には、フェンシング男子で2012年ロンドン五輪男子フルーレ団体銀メダリストの三宅諒選手が、SNSで「明日からバイト始めます」というタイトルの文章を投稿。東京五輪が延期となり、スポンサーとの契約が満了となってしまったことが原因だという。

 プロ、アマ問わず、スポーツ選手に深刻な影響を及ぼしている新型コロナウイルス。2020年の東京五輪でメダル候補と目されていた選手たちは、コロナ禍においてどのような生活をおくっているのだろうか。カヌーのスラローム男子カヤックシングル東京五輪代表の足立和也選手(29)にテレビ電話を利用して話を聞いた。

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――非常事態宣言以降の生活について教えてください

 山口県萩市の自宅でトレーニングを続けています。比較的、コロナの感染者数が少ない山口県を本拠地にしていますが、コーチとも相談して屋外でのトレーニングは自粛しています。

――2012年に山口県萩市の山奥の川を改造し、カヌーのコースを作り上げました。

 阿武川のコースエリア全体に大量の石を組み直して、川の流れの速さや波の大きさなどを変え、理想的なコースを作りました。ダムの放流時間が午前と夕方にあるんですが、その時間は流れも強く、トレーニングに最適なんです。

――苦労して作り上げたコースも使えない日々が続きますね。

 仕方がないことだと思います。トレーニングを3日休むと元に戻すために約一週間かかります。でも、それはどの選手も同じなので、こうした状況を逆にチャンスと捉えて、自宅での空き時間には子供の世話はもちろん、新しいトレーニング方法を模索する時間などに使っています。

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