「エール」の主演・窪田正孝(C)朝日新聞社
「エール」の主演・窪田正孝(C)朝日新聞社

 現在放送中のNHK朝ドラ「エール」が大健闘を続けている。主人公は、全国高校野球の大会歌「栄冠は君に輝く」や、阪神タイガースの球団歌・通称「六甲おろし」など誰もが知っている名曲の数々を作曲した古関裕而さんがモデル。朝ドラで男性が主人公となるのは「マッサン」の玉山鉄二以来6年ぶりで、本作で主人公を演じるのは俳優の窪田正孝(31)だ。

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 コロナ禍で多くの新ドラマが放送休止を余儀なくされるなか、「エール」は新型ウイルスに疲弊する国民を元気づける応援歌のごとく、今もなお放送を続けている。テレビ情報誌の編集者は次のように語る。

「緊急事態宣言が出たこともあり、4月からは撮影を休止をしていますが、昨年から撮りだめしていたため、なんとかまだ放送できているというのが現状です。また、働き方改革の一環で今回の朝ドラから“土曜日を総集編”に変更。本来なら月曜~土曜までオンエアしていたところを毎週1話ずつ少なくしているのも、実は朝ドラ史上59年ぶりの試みなんです。最終回までの半年スパンで考えると、いつもの朝ドラより25話程度は少なくなるわけで、くしくもそれが6月いっぱいまで放送を続けられる要因になったとも言われています」

 本作は東日本大震災から10年目を迎え「福島を応援したい」という思いから、福島市を中心に“朝ドラの誘致活動”を行い、福島県の偉人である古関さんをモデルにしたドラマが実現。しかし、いざ放送が始まると世の中はコロナ一色になり、いつしか外出自粛で疲弊した国民を応援するような存在となっていった。「新型コロナに罹患して亡くなった志村けんさんが本作に出ていたのもまさに象徴的で、結果的には『エール』というタイトルがより立体的になったというか、普遍的な意味を持つようになった」(前出の編集者)という。

 視聴率は20%前後で推移しており、まずまずの好成績を記録している。また、第1話から主人公が原始人として登場したり、現代になるとフラッシュモブでプロポーズするなど、トリッキーすぎる幕開けがSNS上でも大いに盛り上がった。

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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