近年で得点力の高かったチームとなると、やはりリーグ三連覇を達成した広島になるだろう。中でもバランスの良さが目立ったのが2017年のチームだ。

1番:田中広輔 164安打8本塁打60打点35盗塁 打率.290
2番:菊池涼介 153安打14本塁打56打点8盗塁 打率.271
3番:丸佳浩 171安打23本塁打92打点13盗塁 打率.308
4番:鈴木誠也 131安打26本塁打90打点16盗塁 打率.300
5番:松山竜平 114安打14本塁打77打点0盗塁 打率.326
6番:エルドレッド 91安打27本塁打78打点0盗塁 打率.265
7番:安部友裕 128安打4本塁打49打点17盗塁 打率.310
8番:会沢翼 79安打6本塁打35打点0盗塁 打率.275

 田中、菊池、丸、鈴木という長打があって足も使える万能タイプの選手が上位に並び、シーズン通算736得点を叩き出した。この年得点数2位のDeNAが597得点だったことを考えると、広島の打線が突出していたことがよく分かるだろう。伝統の機動力野球は健在で、田中はこの年盗塁王にも輝いている。控えにも新井貴浩、西川龍馬、バティスタといった打てる選手が揃っており、層の厚さも目立つ印象だ。

 トータルで考えると長打力なら1985年の阪神、2004年の巨人が際立っているが、バランスの良さでは1998年の横浜と2017年の広島が上回っているように見える。一つだけ選ぶとすれば、やはり上位から下位まで切れ目がなく、投手が息を抜くポイントのなかった1998年の横浜ということになるだろう。順位こそ3位だったが、記録にも記憶にも残るチームだったことは間違いない。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら