巨人時代の小久保裕紀 (c)朝日新聞社
巨人時代の小久保裕紀 (c)朝日新聞社

 野球は投手力。常々言われてきた言葉ではあるが、点取りゲームである以上、得点できないと勝てないのもまた事実である。近年では西武が2年連続でリーグ最下位の防御率ながら、“山賊打線”を前面に出して連覇を達成している。また何点取られても取り返す豪快な野球も魅力的であることは間違いない。そこで過去のシーズンから、歴代最高の打線はどの年のどの球団になるのか、探ってみたいと思う。今回はセ・リーグ編だ。

【ファンが選んだ平成で最もカッコいいバッティングフォームはこの選手!】

 まずは古くからのファンが真っ先に思い浮かべるのは1985年の阪神ではないだろうか。強力打線が投手陣の弱さを補い、球団創設以来初となる日本一を達成した。そんなチームの代表的なオーダーは以下の通りである。

1番:真弓明信 160安打34本塁打84打点8盗塁 打率.322
2番:弘田澄男 66安打5本塁打22打点2盗塁 打率.296
3番:バース 174安打54本塁打134打点1盗塁 打率.350
4番:掛布雅之 143安打40本塁打108打点3盗塁 打率.300
5番:岡田彰布 157安打35本塁打101打点7盗塁 打率.342
6番:佐野仙好 108安打13本塁打60打点1盗塁 打率.288
7番:平田勝男 105安打7本塁打53打点6盗塁 打率.261
8番:木戸克彦 71安打13本塁打32打点0盗塁 打率.241

 開幕直後の4月17日(対巨人戦)にはバース、掛布、岡田がバックスクリーンへ三者連続ホームランを放ち、この出来事はいまだに阪神ファンの間で伝説となっている。そして最大の強みはこのクリーンアップの三人。全員が打率3割、30本、100打点をクリアしており、その破壊力は間違いなく歴史に残るものだった。しかしその一方で弱点も見えなくはない。センターに入ることの多かった北村照文が21盗塁をマークしたものの、機動力はあまり使えず、長打で得点するスタイルに偏っていた印象が強い。また下位打線にしぶとさはあったものの、中軸頼みという印象は否めなかった。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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90年代に一世を風靡した打線といえば?