腺外症状は、臓器の症状で、倦怠感や関節痛などの全身症状、白血球や血小板の減少、間質性肺炎、腎炎、紫斑、紅斑などがある。

「治療は症状をやわらげる対症療法が中心になります。腺症状に対しては、涙や唾液を補充する治療をおこないますから、診断がつけば、近医の眼科や耳鼻科で治療をおこなってもらうこともあります」

 ドライアイには、涙の成分であるムチンの産生を促すレバミピド点眼液(商品名:ムコスタ)やジクアホソルナトリウム点眼液(商品名:ジクアス)、角膜上皮の傷の治癒を促すヒアルロン酸ナトリウム点眼液などを使う。ドライアイメガネの装用や涙の出口である涙点をふさいで涙の排出を防ぐ、涙点プラグや涙点縫合といった手術をおこなうこともある。

 ドライマウスでは口のなかを水分で濡らしたり、うがいをしてもらうが、この効果が短時間であるため、人工唾液や保湿成分の入ったジェルなどを用いる。唾液自体を出しやすくする薬である、セビメリン塩酸塩(商品名エボザック、サリグレン)、ピロカルピン塩酸塩(商品名:サラジェン)などを使うと唾液分泌量増加、口腔乾燥症状改善の効果が出る。

「ただし、効果は個人差があり、消化器症状や発汗などの副作用が出ることもあるため、症状を見ながら使用します」

 腺外症状ではそれぞれの臓器に現れた症状に合わせた治療が施される。関節、筋、皮膚病変には副腎皮質ステロイドの投与が改善効果がある。肺、腎、中枢神経病変を改善させる可能性があるのがシクロホスファミドだ。

 シェーグレン症候群は、慢性に経過する疾患であるため、腺症状がある場合には、日常生活で目の症状の早期発見や虫歯予防が重要だ。眼科や歯科を定期的に受診することが大切だ。腺外症状を合併している場合には、膠原病専門医のもとでの治療と経過観察が必須だ。

「日常生活における、患者さん自身の自己管理も重要です。ドライアイであれば、パソコンなどのOA機器の使用を控え、直射日光、エアコン、低湿度、煙やほこりの多い環境を避けるべきです。ドライマウスであれば、虫歯や歯周病予防のために砂糖を含む食事や間食をできるだけ減らし、乾燥食品、香辛料、アルコールの摂取を控え、食事の温度を工夫するなども大切です。もちろん禁煙は必須です。ストレスをためることもよくありません。そして、口の乾きを誘発するような他の薬を飲んでいる場合も気をつけなくてはなりません。主治医に随時相談して、QOL(生活の質)を保ってください」

(文/伊波達也)