東京女子医科大学病院膠原病リウマチ痛風センター・センター長で主任教授の針谷正祥医師
東京女子医科大学病院膠原病リウマチ痛風センター・センター長で主任教授の針谷正祥医師

「膠原(こうげん)病」の一種で、体が乾燥する諸症状と臓器に対する諸症状が現れる病気がシェーグレン症候群だ。涙や唾液がでにくくなるドライアイ、ドライマウスの原因になる。患者のQOL(生活の質)を著しく低下させる病気であり、厚生労働省から指定難病に指定されている。シェーグレン症候群の概要について専門医に聞いた。

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「シェーグレン症候群の症状は、涙や唾液を作り出している涙腺や唾液腺などの外分泌腺に慢性的に炎症が生じて、涙や唾液が出にくくなる腺症状(乾燥症状)と、それ以外の腺外症状(臓器症状)に分かれています。したがって、その二つの症状に分けて治療戦略を立てます」

 そう説明するのは、東京女子医科大学病院膠原病リウマチ痛風センター・センター長で主任教授の針谷正祥医師だ。

 シェーグレン症候群の発症年齢のピークは50代だが、老若男女に発症する病気でもある。ただし、男女比では1対14と圧倒的に女性が多い。有名人では、和田アキ子さんや菊池桃子さんは、この病気を発症した。

 シェーグレン症候群は、単独で発症する原発性と、他の膠原病に合併して発症する二次性がある。二次性は関節リウマチや全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎などに起こる。

「臨床所見での診断は、唾液腺病変による口腔乾燥、涙腺病変による眼乾燥、腺外病変の三つに分けておこないます。つまり、ドライマウスやドライアイ、そしてそれ以外の症状です」

 ドライマウスは、口が乾いて、ビスケットやパンなどパサパサしたものが食べにくくなる。長く話すと声がかれるといった症状もある。口のなかが乾くため、口臭の原因となり、虫歯にもなりやすい。味覚障害が生じることもある。
 
 ドライアイの症状として、目がゴロゴロする、疲れやすい、光をまぶしく感じるといったことが起こり、重症になると角膜が傷つき、乾燥性角結膜炎や表層性角膜びらんいう角膜の障害に至ってしまう。

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「腺外症状」は臓器の症状