アーセナル時代の宮市亮 (c)朝日新聞社
アーセナル時代の宮市亮 (c)朝日新聞社

 サッカー選手なら誰もが憧れるワールドカップ。少年時代から4年に一度開催される世界最高の祭典を目指し、プロの道を歩んでいく選手がほとんどだろう。そして当然、日本人であれば日本代表のユニフォームを着てピッチを駆け回る姿を夢見るものだ。

 しかし急速にレベルアップする日本サッカー界において、“サムライブルー”の競争は年々激しさを増している。特に近年は、久保建英に代表されるように若くして海外へ挑戦して成功する選手も増えてきており、なかなか定着できずに居場所を奪われる選手も多い。

 そこで今回は、一時は高い期待を集めて招集を受けていながらも、日本代表に定着できていない選手の現状を紹介する。

【武藤嘉紀】

 2014年の初招集以降、継続して日本代表チームに参加していた武藤。しかし本人が憧れ続けた夢の舞台、プレミアリーグ移籍後は苦しい状況が続いている。

 ニューカッスル1年目となった昨季は第8節マンチェスター・ユナイテッド戦でゴールを奪ったものの、以降リーグ戦での得点は「0」。今季の先発はたった2試合であり、19試合でベンチ外と指揮官の構想外となっている。現地メディアも「時間は終わった」との論調であり、さらにサウジアラビア富豪によるクラブ買収が間近に迫る中、もはやニューカッスルで居場所を見つけるのは困難な状況だ。

 とはいえ日本人としては珍しく強引にゴールを狙っていく姿勢を持つ選手だけに、代表チームに刺激をもたらす選手であることは間違いない。自身のキャリアを再生させるためにも、まずは新天地を探す方が賢明だろう。

【浅野拓磨】

 名将アーセン・ヴェンゲル氏にその才能を認められ、海を渡ってから4年。就労ビザの関係でドイツへの期限付き移籍が続いたが、ブンデスリーガではインパクトを残せず。昨季所属したハノーファーでは、買い取り義務発生前に出場禁止令が出されるなど不遇を味わった。昨夏アーセナルを退団し、新天地にはセルビアを選択。名門パルチザン・ベオグラードへ加わった。

 欧州では苦労していた25歳の快速アタッカーだったが、セルビアの地では即座にレギュラーの座をつかみ、継続的な出場機会の確保に成功。ヨーロッパリーグでは予選と合わせて3ゴールを記録するなど、欧州大会でも戦えることを証明した。サボ・ミロシェビッチ監督も「彼に追いつくのは無理」とそのスピードは重要な武器だと評価している。

 日本代表には2015年にデビュー。2017年8月のロシア・ワールドカップ最終予選、ホームで行われたオーストラリア代表戦では本戦出場を決める決勝ゴールを奪ったが、本大会ではメンバーから外れた。それでも「絶対に次のW杯は行きたい。あの経験があったからこそ」と2022年カタールW杯へ並々ならぬ闘志を燃やしている。だが、起用が予想される2列目は最も競争が激しいポジションであり、最近では招集を受けてもベンチを温める試合がほとんどだ。代表チームで地位を築くためには、セルビアでより多く得点を積み重ねることが不可欠である。

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ロシアW杯の出場が確実視された選手も…