杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat
杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat
保育士一人が受け持つことができる子どもの人数は、国に決められている。1歳の子どもなら6人に対して必ず1人以上の保育士が、4歳児なら30人につき1人。つまり、1人の保育士がいなくなったら、30人の4歳児が受け入れ不可能になってしまうのだ(※写真はイメージです)
保育士一人が受け持つことができる子どもの人数は、国に決められている。1歳の子どもなら6人に対して必ず1人以上の保育士が、4歳児なら30人につき1人。つまり、1人の保育士がいなくなったら、30人の4歳児が受け入れ不可能になってしまうのだ(※写真はイメージです)

 うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や5歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。

 この連載が本になりました。タイトルは『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』です。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る「私の育児論」を、ぜひご覧ください。

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 新型コロナウイルスの感染は、風邪のウイルス遺伝子が突然変異をしたことにより広がった「天災」です。内閣府のホームページでも、コロナに関することは「天災の影響」扱いで対応するように書かれています。しかし、このウイルス騒動を、「人災」だと言う人もいます。

■自分は大丈夫と思ってしまう「正常性バイアス」

 悪い情報を過小評価し、「自分だけは大丈夫だろう」と思ってしまうことを、心理学で「正常性バイアス」といいます。そんな考えに取りつかれた人たちが、外出の自粛要請が出ているというのに、なぜか旅行に出かけたり、あえて人が集まる大型イベントを開催したり、そこに大勢で参加したりして、体内にウイルスを取り込み、多くの人に接触し感染を広めていく。

 勝手な行動により自分が感染するのは自業自得ですが、自分が「感染させる側」に回ることを想像できない人が想像以上に多くいるのは不幸なことです。こうして広がっていく感染は、人災と呼んでしまっていいでしょう。

 コロナ禍の中で、人為的に他人の状況を悪化させ、精神的に追い詰める出来事が頻発していると耳にします。たとえば薬局で、「マスクは入荷していないのか」「いつ入荷するのか」と、毎日のように客がおしかけ問い詰めてくるせいで、従業員が疲弊していると聞きます。

「入荷は未定」というポスターを店の前にでかでかと貼っても、聞いてくる人がいるとのこと。実際に私も、レジを打っている従業員に詰問している人を目撃したことがあります。 薬局は、人の生活に必需である医薬品や生活用品を提供してくれる場所であり、安易に店を閉めるわけにはいきません。

 そして業務的に在宅ワークは不可能なうえ、多くの人と接触せざるを得ない仕事なのです。そこでがんばってくれている従業員に、自分のことしか考えられない人たちが、無自覚な言動を投げつけて労働環境を悪化させていく。これも、コロナ騒動の中で起きている、一つの「人災」ととらえても差し支えないように思います。

 そして今、人災により、特に過酷な労働環境を強いられていると感じるのは、働く親たちのよりどころである「保育園」です。

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杉山奈津子

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杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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