放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、鈴木さんが脚本を書いている話題のドラマ「M 愛すべき人がいて」について綴ります。
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テレビ朝日系のドラマ「M 愛すべき人がいて」の脚本を書かせていただいてます。原作は著者である小松成美さんが浜崎あゆみさんと松浦勝人さんの2人の事実をもとにして書いたフィクション。小説です。このドラマ化のお話をいただいた時に、かなり悩みました。
その中で、もし自分がドラマ化するならと考えたのが、ある意味思いっきりフィクションにも見えるように「大映ドラマのようなテイスト」を入れたいと。見た人が「いろんな見方が出来るドラマ」にしたいと思いました。結構無茶なアイデアだと思いましたが、プロデユーサーさん、他スタッフさんは乗ってくれました。
僕の仕事は放送作家です。ドラマの脚本だったら、「脚本家」の方に勝てるわけなく、放送作家の僕しか書かないだろう脚本を書かなきゃと、より強く思ったのがここ3年。テレビ朝日で「奪い愛、冬」というドラマを作った時、本打ち合わせでプロデユーサーさんが「ドロドロの不倫ものなんだけど、なんか変なことばかり起きるドラマを作りたい」と言いました。この「なんか変なことばっかり起きる」と言う言葉が僕の中でしっくり来ました。だから「奪い愛、冬」では、「変なことばかり起きる」ドラマを作ったのですが、それがとても自分に向いてるな~と。
というのも、僕は子供のころからずっと「大映ドラマ」を見て育ちました。80年代に大映テレビが制作したドラマに僕は夢中でした。「噂の刑事 トミーとマツ」、「不良少女と呼ばれて」、「スクール・ウォーズ」、そして「スチュワーデス物語」。
実話をベースにしたドラマもありましたが、どれも子供心を刺激しました。当時から見る人によってはいろんな見方をしていたと思います。展開が急激。そしてまさに「変なことが起きる」のです。