「腹膜透析の患者数です」と言うのは小松医師だ。

「新規、継続患者を合わせて10人以上だと安心ですが、日本では腹膜透析の患者数そのものが少ないうえ、地方差もあります。年間数人でも腹膜透析患者を診ている場合に、十分な説明や助言をしている施設といえるでしょう」

 伊藤医師は「腹膜透析の数は多いほうがよい」としたうえでこう話す。

「自分の病院で腹膜透析や腎移植ができないのだとしても、適切な助言をして患者に何がふさわしいかを考え、それができる病院を紹介できることも重要です」

 新規導入患者数と、継続患者数の数の違いはどう見ればいいのか。

「腹膜透析の場合、新規導入患者がそのまま同じ病院で継続治療するケースが多いのですが、血液透析は違います。病院の血液透析ベッド数には限りがあり、透析を導入(開始)したあと、ほかの透析クリニックを紹介する場合も多い。新しく血液透析を始める場合は、まず新規患者数の多いところを選ぶといいでしょう」(小松医師)

 週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、日本透析医学会の専門医の数も掲載している。

「専門医は最新の医学情報をもっています。導入施設には専門医が複数いることが望ましいですね」(同)

 伊藤医師は、医師だけではなく専門性の高いスタッフの有無にも注目してほしいと話す。

「その目安になるのは、腎臓病療養指導士のいる病院です。看護師、管理栄養士、薬剤師などが登録し、日本腎臓病協会のホームページで名前と所属が確認できます。日本腹膜透析医学会の認定看護師のいる施設もおすすめですが、現在はホームページでは名前しか確認できません。病院で『こちらに認定指導看護師はいますか』と質問してもいいでしょう」
(文/神 素子)

≪取材した医師≫
愛知医科大学病院 腎臓・リウマチ膠原病 内科部長 伊藤恭彦 医師
群馬大学病院 医療の質・安全管理部部長 小松康宏 医師

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』より