※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 緊急事態宣言が5月末まで延長されることが決定した。外出自粛が続く中、ストレスをどう解消していくのか。カップルカウンセラーの西澤寿樹さんが夫婦間で起きがちな問題を紐解く本連載、今回は「受動的な生活の落とし穴」について解説する。

*  *  *

 新型コロナウイルスをめぐる状況は刻々と変わっていますが、皆さんのストレスは高原状態が続いていると思います。前回のコラムでも書きましたが、人が普通に我慢できるのは1週間です。日本では小出しに少しずつ警戒度を上げられてきたので、その時々で我慢している(努力している)にもかかわらず、なかなか状況が改善せず(努力の結果が出ず)、我慢すべき(努力すべき)ハードルが上がっていくという、心理的に非常に厳しい状況に置かれています。

 政府や自治体や専門家など、それぞれの立場の人たちは最大限頑張っていると思いますので、誰が悪いということではありませんが、先が見通せない中で、不安をあおるようなニュースばかり目にするのは心理的にきついことです。

 さらに、今のところ治療薬が開発されていないわけですから、感染しないためにも(残念ながら感染してしまった場合も)、自らの免疫力で対応するしかありません。その免疫力を高めるためには、よく眠り、運動をし、バランスの取れた食事をとり、ストレスをためないこと、などが勧められています。ストレスをためないためには、ざっくり言って「生きていることを楽しむ」というのが一番なのです。

 しかし、新型コロナウイルスのような感染症の厄介なところは、「人生を楽しむと命を危険にさらしてしまう」ということです。当初パンデミックが生じた、イタリアやスペインの人たちは、大勢で会食して会話し、歌い、ハグし……と人生を楽しむのが大得意な国民性ですが、それも災いしたのかもしれません。ストレス対処や免疫力の向上には楽しむことが大事なのに、一方で、楽しむことは感染を引き起こすという、この矛盾をどう解決するのか知恵が必要です。

著者プロフィールを見る
西澤寿樹

西澤寿樹

西澤寿樹(にしざわ・としき)/1964年、長野県生まれ。臨床心理士、カウンセラー。女性と夫婦のためのカウンセリングルーム「@はあと・くりにっく」(東京・渋谷)で多くのカップルから相談を受ける。経営者、医療関係者、アーティスト等のクライアントを多く抱える。 慶應義塾大学経営管理研究科修士課程修了、青山学院大学大学院文学研究科心理学専攻博士後期課程単位取得退学。戦略コンサルティング会社、証券会社勤務を経て現職

西澤寿樹の記事一覧はこちら
次のページ
自宅で見られるエンタメにも注意点