「HOTEL SHE, KYOTO」。インテリアやオリジナルグッズのセンスの良さに、海外宿泊客のファンも多い(写真提供:HOTEL SHE, KYOTO)
「HOTEL SHE, KYOTO」。インテリアやオリジナルグッズのセンスの良さに、海外宿泊客のファンも多い(写真提供:HOTEL SHE, KYOTO)
「未来に泊まれる宿泊券」サイト。4月末時点で約80軒の宿泊施設が登録(写真提供:HOTEL SHE, KYOTO)
「未来に泊まれる宿泊券」サイト。4月末時点で約80軒の宿泊施設が登録(写真提供:HOTEL SHE, KYOTO)
「泊まれる演劇」の招待状。ミステリー作品を上演「泊まれる演劇」の招待状。ミステリー作品を上演(写真提供:HOTEL SHE,KYOTO)
「泊まれる演劇」の招待状。ミステリー作品を上演「泊まれる演劇」の招待状。ミステリー作品を上演(写真提供:HOTEL SHE,KYOTO)
花岡直弥さん。前職では、広告会社でデジタルに関わるプランニングを担当していた(写真提供:ご本人)
花岡直弥さん。前職では、広告会社でデジタルに関わるプランニングを担当していた(写真提供:ご本人)

 新型コロナの影響で旅行の自粛が続く中、宿泊なしでも成り立つ新たなビジネスモデルを提案するホテルがある。「京都の文化とメディアアートの融合」をテーマにした宿泊施設「HOTEL SHE, KYOTO」だ。4月10日から系列5館はすべて休館したにもかかわらず、目の前の経済は回っているという。

■オンライン上で未来のオフライン経済を回す

 33室の小さなホテル「HOTEL SHE, KYOTO」。ハイセンスな空間作りにファンも多いが、コロナ禍で5施設すべてを休館している。ホテルは本来、お客さまにお越しいただくことで成り立つビジネス。お金を生む手段は消えてしまったが、企画担当の花岡直弥さんは経済を回す2つの取り組みを始めている。
◆      ◆     ◆
 4月8日から「未来に泊まれる宿泊券」、つまり「未来チケット」の販売をスタートしました。いつか旅に出る日のために、未来の宿泊予約ができる仕組みです。僕たちが運営する5つの宿泊施設だけでなく、理念に賛同してくださった他社の施設の宿泊券も販売しています。「HOTEL SHE, KYOTO」では日によっては1日で10室程度の予約が入ることもあり、これまでの売上には及ばないものの、未来の経済が回っているのを実感します。

 もうひとつが「演劇」。オンライン版「泊まれる演劇」です。と言っても、なんのことか分からないですよね(笑)。もともと当ホテルでは6月に、ホテルを舞台に演劇を行う予定でした。宿泊者は、物語の登場人物と館内で会ったり、モノを渡したりすることができるという参加型演劇。通称「泊まれる演劇」です。これをオンラインで上演することにしました。

 まず、脚本を書き直しました。物語は、お客さまの家に招待状が届くところから始まるのですが、実際にリアルな招待状が届きます。また、上演中に役者から電話がかかってくることもあります。つまり、お客さまは自宅にいながら演劇に参加できるのです。もちろん、本当はホテルで開催したかったのですが、オンラインにしたことで、遠方の方やお子さんがいらっしゃる方など、参加いただける方が増えました。

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