伊沢拓司さん(撮影/写真部・松永卓也)
伊沢拓司さん(撮影/写真部・松永卓也)

QuizKnockの課外授業シリーズ01『勉強が楽しくなっちゃう本』QuizKnock 著/1200円+税※本の詳細はこちら
QuizKnockの課外授業シリーズ01『勉強が楽しくなっちゃう本』QuizKnock 著/1200円+税
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 新型コロナウイルスの感染拡大で小中高校、大学での「休校措置」や「リモート授業」が続いています。「学ぶ権利」が失われたかのように思える今こそ、何ができるのか。このほど『勉強が楽しくなっちゃう本』を刊行した、「QuizKnock」のCEOであり、東大クイズ王の伊沢拓司さんにお話を伺いました。

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――連日、メディア情報が錯綜し落ち着かない環境下でなかなか勉強に集中できないお子さんも多いと思いますが、何かよきアドバイスをいただけますでしょうか。

伊沢:社会や家庭のソワソワって、どうしてもお子さんに影響しやすい要素なので、難しいですよね。なんとなくの落ち着かなさを振り払うことにおいては、何かを「しなければならない」という意識をなくすことがせめてもの解決策になると思います。ただでさえ焦りの生まれる現在の生活の中で、さらに勉強自体について焦ってしまったら集中できないのは当たり前です。こんなときだからこそ、勉強については落ち着いて進めたいですよね。そのための意識として、「しなければならない」と思っていることを意識から取り外していくことが大事になります。

――「しなければならない」というプレッシャーで焦りが増長し、集中力が欠けてしまう状況は避けたいですね。

伊沢:あそこのお家が始めたオンライン家庭教師やったほうがいいのかしらとか、今から過去問を解かせないと駄目かしら、とか、そういう「しなければならない」意識が当てはまるかどうかは完全に人それぞれです。それが本当に今必要なのかという疑いの視点に立ち、必要な学習を選択していくという姿勢が求められていると思います。今使っている単語帳で成果が挙がっているならメジャーな単語帳を使う必要はないですし、東大生がやってる一日10時間の勉強がしんどいなら、6時間から始めてもよいのです。そもそも、家にいるからと言って、学校と同じ時間勉強しなきゃいけないのか、というところからですよね。在宅という慣れない状況で、ただでさえ集中しづらいんだから、その分少し手を抜いて、短い時間でもよいのではないでしょうか。

 学校に行けずに同級生に会えないということは、生で豊富な体験談が入ってきづらく、断片的な情報ばかりが目に付くという状況です。その上で授業もないんですから、焦るのは当然。しかし、そのような情報の大半は、あまり自分に関係のないものです。他人にとっては有益な方法も、自分のやり方にあっていなくて逆効果、なんてことはよくあります。家にいるという今の状況は、むしろ自分の思考と向き合い、雑音を振り払いながら「これって自分の役に立つかな?」と考える機会でもあるのですから、色々な情報についてじっくり考えてみるべきでしょう。「しなければいけない」という雑音に焦らないことが、日常への焦りが駆り立てられる今こそせめてできることかなと思います。

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親が子どもにしてあげられること