前川氏は、「コロナ対策」と「9月入学の検討」は別の問題であり、切り離して考えるべきだと強調する。

「学校制度全体を変えるというのは、まさに『牛刀をもって鶏を割く』そのもの。やり過ぎです。目下の『コロナ対策』として考えるのであれば、(不満の声が多い)高校3年生を対象に、センター試験の6月実施や9月入学枠の拡大をするなど、限定的な対応をとるべきです。(9月入学制の議論は)安直で、失政に対する目くらましにしか見えません。思いつきや、評判狙いの施策はやめるべきです」

 前川氏のような反対論がある一方で、教育評論家の尾木直樹氏は、29日に<文科省の皆さん!既成の枠の中で考えないで!>と題してブログを更新し、9月入学に前向きな考えを記している。

<9月新学期制の検討始めてくださりホットしました。が、心配は、既成の枠組みの中でシュミュレーションするとあちこちに壁がそびえ立ちとても無理になります。今は異常事態 平時の議論ではありません!だからこそ枠外してシュミレーションお願いしますね>

 日本の教育システムの“大転換”となる「9月入学制」。だからこそ、もっと多様な意見を交わし、熟議をへてから決定するプロセスが必要ではないだろうか。(AERAdot.編集部/飯塚大和)