頼りすぎることはできないけど、学校帰りに立ち寄ることができ、いとこたちと時間を共有できることが、娘の寂しさを軽くしてくれていたと思います。4人の子どもたちが五十歳代になった今でも「いとこ会」という名で定期的に楽しそうに会合している姿を見ると、子どもたちにとっても、とても必要な時間だったのだと思います。

 働き続けるということは、男女関係なく、本当に大変なことだと思います。子どもが生まれたら、育児に自分たちの父母の手を借りたいというお父さん、お母さんの気持ちも私にはよくわかります。

 でも、ひとにはそれぞれの人生があり、そのひとの暮らしがあるのです。いまは定年退職後も、働ける限りは仕事を持って働き続けたいという方も多い時代です。祖父母なのだから、孫のめんどうを見てほしい。親族なのだから、無条件で手を貸してほしいというのは、こちら側の「甘え」ととられてしまうこともあるでしょう。

 無論、家族の形はさまざまです。お互いに十分話し合った上で助け合う、という形であればいいと思います。でも片方がもう片方に依存する形になるのはいけません。相手が少しでも負担に思うような状況は、初めから避けておくことが大切なのです。

【しなやかに生きる知恵】
祖父母が孫のめんどうを見るのは当たり前のことではありません

著者プロフィールを見る
小林照子

小林照子

小林照子(こばやし・てるこ)/美容研究家。ヘア&メイクアップアーティスト。1935年、東京都生まれ。東京高等美容学院を卒業後、小林コーセー(現・コーセー)に美容部員として入社。数々の大ヒット商品を手掛け、85年、同社初の女性取締役に就任。その後独立・起業し、美容ビジネスの企業経営や後進を育てる学校運営をおこなっている。『人生は、「手」で変わる。』(朝日新聞出版)、『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)、『小林照子流 ハッピーシニアメイク』(河出書房新社)ほか著書多数

小林照子の記事一覧はこちら