――労働基準法には、休業の場合に、会社(使用者)が休業手当(平均賃金の60%以上)を支払わなければならないと定められています。

 ただ、それを知らない外国人労働者も多いんです。そういう人たちには経営者がきちんと伝える義務がありますが、それをしないケースも出てきています。運良く、自分自身で情報を探し出せたとしても、日本語をきちんと理解できない外国人労働者も少なくありません。

――2月には、新型コロナウイルスによる肺炎に関する厚生労働省のホームページで、外国語の情報に誤訳が多いことが報じられましたね。

 正しく訳されていても難しい内容ですから、誤訳があってはとても理解ができません。緊急事態宣言に基づく労働者への支援や補償、またコロナウイルスに関する正しい情報が正確に伝わるよう、日本人の方々に少しでも協力してほしいんです。

――政府ではなく日本人ですか?

 もちろん日本政府が動いてくれると助かりますが、私はあまり安倍政権を高く評価していません。例えば韓国のムン・ジェイン大統領は、はじめは積極的な検査などの政策が批判を受けましたが、PCR検査の強化などの対策を進めた結果、1日の感染者数は10人以下にまで減少しました。いまでは大統領の支持率は60%以上に上昇しています。それと比較すると、どうしても安倍政権のコロナ対策は”お粗末”と言わざるを得ません。「アベノマスク」は、無いよりはいいですし、10万円給付もありがたい。でもコロナ対策において安倍政権を100%頼ることはできないと感じています。

――そうしたお考えの中で日本人に伝えたいことは何でしょうか。

 なにか行動を起こしてほしい。働き方が変わって、子どもの世話もしなければならない。みなさんが大変な生活を送っていることは理解しています。まずは自分たちの生活を安定させたいと思うのは当然のことです。ですから、少しでも余裕ができたときに、外国人労働者という「弱者」が困っていることを知って、考えて、なにか行動に移してほしいと願っています。

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