そんな渡邊に求められることは積極性だろう。渡邊は、ディフェンスには定評があるもののチームプレーに徹するタイプだ。それだけに試合終盤の限られた時間だけでコーチ陣にアピールすることは難しいが、それでもオフェンス面でもう少しアグレッシブにドライブしたり果敢にシュートを打っても良かっただろう。

 メンフィス・ハッスルでの今季の渡邊はFG成功率が54.6%、3Pシュート成功率が36.4%とそれぞれ向上。2Pシュート成功率に限れば63.2%をマークしており、昨季の48.7%から大幅アップに成功した。当然、NBAとGリーグではディフェンスの質やレベルは異なるが、制限されたプレータイムの中で、ハッスルで見せていたような積極性をもっと見せてもよかったように思う。

 グリズリーズのロスター枠を考えると、渡邊が来季もチームに残留する可能性は少ないというのが大方の予想だ。来季の渡邊がどのチームと契約することになっても、この2シーズンで経験したことを生かしてさらなるステップアップを図って欲しい。(文/田村一人)