「ウンコで流される佐藤二朗は朝からパンチあるなあ」

 あるだろう。パンチ、そりゃあるだろう。むしろパンチしかないだろう。

「子どもたちを起こすのにEテレ見せようと思ったら、カロリー高めの佐藤二朗さんだったのでお母さんの方が目が覚めました」

 おはよう、お母さん。朝から高カロリー。ごめんね。

 思い出した。確かに俺、なった。ウンコになった。50男、ウンコになってました。Eテレの「マチスコープ」という番組。街の不思議を解き明かす番組。単発で放送していたが、毎月最終金曜放送でレギュラー化した。レギュラー化一発目に、俺をウンチにして下水道に流すとは、Eテレのアグレッシブな姿勢には感服するしかない。

 家庭から下水に流される排泄物は、川に流れ出るまでに、どのように浄化されるのか。水再生センターというところで、なんと微生物が排泄物の汚れを食べて分解し、水をキレイにするのだ、そうだ。

 なるほど勉強になる内容だ。その番組で僕は排泄物を演じた。はっきり言えば、ウンチを演じた。演じきった。8才の息子よ。お父さんは頑張ってるんだよ。ちなみに番組を観た息子は、大爆笑。ウンチを演じる父を見て大爆笑。そりゃそうだわな。見逃した方、てか俺としては見逃してくれと言いたいところだが、5/1(金)の朝7:10まで、NHKプラスの見逃し配信でご覧頂けます。

 さて、宣伝もしたことだし、今回のコラム、これで結んでもいいんだが、話はこれで終わらない。

 なんと、朝7時にEテレで、僕がウンチとなり下水道を颯爽と(颯爽ではない)流れた、その日の深夜0:12。僕主演でお届けしているドラマ「浦安鉄筋家族」の最後というか、締めの部分が、ウンコなのだ。それはもう、ウンコ一色なのだ。つまり、4/24という日は、日本列島が「ウンコ佐藤二朗」で始まり、「ウンコ佐藤二朗」で終わるという、まさに俺にとって黄金の金字塔、ウンコだけに黄金の、やめよう。これ以上はやめよう。怒られる。

 まあ、ウンコというものは、昔も今も、子どもたちのアイドル(そうか?)、そして全ての人がかつて子どもだった訳で、このご時世に、アイドルの力を借りて皆様に笑顔をお届けできたなら、体を張った甲斐もございます。(文/佐藤二朗)

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佐藤二朗

佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家、映画監督。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や映画「幼獣マメシバ」シリーズの芝二郎役など個性的な役で人気を集める。著書にツイッターの投稿をまとめた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などがある。96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がけ、原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)がBD&DVD発売中。また、主演映画「さがす」が公開中。

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