「メジャーに対する憧れは昔から口にしていた。しかし自らの立場などを考えメジャー挑戦を封印し、日本球史に残る選手になることを誓った。その中での目標の1つが最年少2000本安打。本人はかなり落ち込んでいるのではないでしょうか」(巨人担当記者)

 小学校時代にバッテリーを組んだ田中将大は、メジャーの名門ヤンキースでエースとも呼べるレベルの投手となり、比較されて悔しい思いもしてきた(小学生時代は坂本が投手、田中が捕手)。様々なメジャーへの気持ちを封印、『日本でトップになる』と決意した矢先に目標を失った失意は大きいはずだ。

「口にはしないがやり切れないだろう。無念なはずなのに、今まで以上に熱心に野球に取り組んでいる。何かが吹っ切れたようです」と、前出の球団関係者は坂本の前向きな姿勢を大絶賛する。社会情勢も不安定な中、他球団からはトラブルも聞こえてくる。いつ開幕できるかもわからない。そんな中でも坂本は連日、準備を欠かさないという。

 史上最年少2000本安打達成できなくとも、坂本の価値が決して下がることはない。そして、これから狙えるものは他にも沢山ある。

 張本勲氏(元東映ほか)が達成した3085本の最多安打。そして立浪和義氏(元中日)が打ち立てた487本の最多二塁打(現在坂本は348本)という2つの大記録更新の可能性がある。昨シーズンはキャリアで2番目に多い173本のヒットをマークし、本塁打は自己最多を大きく上回る40本塁打を記録。円熟期を迎え、まだまだ成績が伸びそうな予感が漂うだけに、期待は大きい。

「試合数は異なるとはいえ、張本氏、立浪氏とも左打者。右投手が圧倒的多数であり、一塁への距離も近い左打者が有利なのは間違いない。右打者の坂本が成し遂げる意味は大きい」と巨人担当記者が続ける通り、これまで打撃記録を達成した多くは左打者だった。その壁を乗り越えることで、坂本は打撃技術の高さが史上最高レベルにあることを証明することになるだろう。

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達成できるものはグラウンドの外でも?