駅やホームの一部が市区町村をまたぐ例は多い。JR東日本の新宿駅もそのひとつ。新宿区と渋谷区の境界は甲州街道(国道20号)に沿っているため、一部のホームが渋谷区にまたがっている。甲州街道改札や新南口、さらにバスタ新宿など、新宿を名乗る施設の多くが渋谷区にある。

 西武鉄道の秋津駅は東京都東村山市に所在するが、ホームは東京都清瀬市と埼玉県所沢市をまたぐ。1番線側の南口は東村山市、2番線側の北口は所沢市にある。南口を所在地にしたのは、お客様案内カウンターや特急券うりばが設置されているからであろう。

 また、車両基地でも、東武鉄道の南栗橋車両管区春日部支所は埼玉県春日部市と南埼玉郡宮代町、東急電鉄の長津田検車区は横浜市緑区と東京都町田市にまたがっている。

 境界の駅に立ち寄った際、スマホのマップ機能を使い、その土地の境目を調べてみると、意外な発見があるかもしれない。(文・岸田法眼)

岸田法眼(きしだ・ほうがん)/『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人刊)、『論座』(朝日新聞社刊)、『bizSPA! フレッシュ』(扶桑社刊)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)。