■起伏に富む地形を地下と地表、高架化で克服

 現状では泉岳寺が地下駅、品川と新馬場が高架駅で、北品川が地表駅となっている(泉岳寺から順に地下ー高架ー地表ー高架)。品川は高架駅ではあるものの、北品川側に向けて地形がせり上がっている関係で、駅構内を抜けるとほどなく地表線となり、北品川駅へと至る。京急線の下り列車に乗って高架の京急品川駅を発車すると間もなく幅の広い踏切(八ツ山橋踏切)を渡り、地形の起伏を実感できることだろう。さらに北品川~新馬場駅間で勾配線を登ると高架線区間に入るという線形だ。

 今回の計画はこの部分などが高架化され、周辺の景色も大きく変貌するに違いない。具体的には、地表化した品川駅構内の北品川側からすぐに勾配線となり、高架の北品川駅へ向かって駈け登る形となる。高架部分には防音壁が設けられるほか、バラスト軌道とロングレールとするなど騒音軽減がはかられる。泉岳寺側は、現状の高架と地下とを結ぶ勾配が緩和され、引上線も高架から地表に移設される。

 完成後は新幹線を含む大規模駅である品川駅が大きく変貌するとともに、周辺道路環境の大幅な改善が期待される。また、品川駅ホームが増強されることにより、京急の輸送力も向上することだろう。通勤・通学需要はもとより、羽田国際空港アクセスなど、多方面への効果を期待したいところだ。(文・植村誠)

植村誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。