現役復帰宣言は本人の「やってみようかな」というノリの部分もあるだろう。また同時に前述した経済的な理由も多少は影響があるのではないか……。

 そんな中、野球界のトレンドも新庄の追い風になっている。ここにきて大きな話題となっているNPB球団数を現在の12から16に増やす計画だ。

「球団数増の話はここ2~3年で具体的に進み始めており、関係者が新庄に目をつけた。引退して15年経つが新庄ブランドはいまだ絶大の知名度を誇る。プロ野球復帰を目指すとなれば、注目を集めるのは間違いないため、周囲はビジネスチャンスと捉えている。新規参入を計画している人たちにとっては、新庄の存在によって注目度が上がるとともに、スポンサー獲得などにもつながる。もちろん新庄が出場するとなればチケットもかなり売れるだろう。新たに参入した球団で現役復帰をして欲しいと思っている人は多い」と前出のスポーツライターは、新庄を取り巻く周辺環境が大きく動き始めていると続ける。

 王貞治ソフトバンク球団会長をはじめ、古田敦也氏などの球界著名人がこの話題に触れたことから、球団数増の議論が熱を帯び始めた。具体的にはNPB公式戦開催実績もある、愛媛県松山市、静岡市、新潟市などに加え、沖縄県という声もある。実際、沖縄には将来のNPB参入を公言して19年7月発足した新球団・琉球ブルーオーシャンズもある。

「毎年、春季キャンプがおこなわれる沖縄県は、球場などハード面はかなり充実している。加えて『高校野球期間中は町に人がいなくなる』と言われるほど野球熱が高い。米軍基地もあり現状のフランチャイズ以上に野球が盛り上がる土壌がある。首里城で大規模な火災が起こるなど、暗い話題もある中でプロ野球の球団誕生となれば、これ以上の素晴らしいニュースはない。沖縄市民の希望の光が野球であり、そこにうってつけの選手が新庄なのです」

 沖縄県関係者は、沖縄のプロ野球チームに新庄の存在は不可欠だ、と鼻息が荒い。

 今、日本のみならず世界中が新型コロナウイルスの脅威に晒されている。NPBをはじめとするスポーツすべてが開催すらできない状況。明るい話題が少ない中で、実現するかはさておき、新庄の現役復帰は一筋の光に感じる。「みんな夢はあるかい?」現役復帰を発表した際、最初に綴った言葉の通り、新庄の夢に乗っかりたくなってしまう。周囲を無条件に明るくしてくれる新庄剛志から目が離せない。