次は現役世代の中で、まだ「○○のダル」に代わる異名が定着するほどの実績を残していない投手。“房総のダル”相内誠(千葉国際-西武)、“伊予のダル”安楽智大(済美-楽天)、“土佐のダル”田川賢吾(高知中央-ヤクルト)らが該当する。また、1軍で実績を挙げつつある“越後のダル”椎野新(村上桜ケ丘-国士大-ソフトバンク)、もう一人の“伊予のダル”アドゥワ誠(松山聖陵-広島)は、今季の成績しだいでは、“脱皮”できる可能性がある。

 最後は、プロで華々しく活躍し、「○○のダル」のイメージをすっかり払拭した投手。

 花巻東高時代に“みちのくのダル”と呼ばれた大谷翔平(現エンゼルス)が代表格で、大阪桐蔭高時代に“浪速のダル”の異名をとった藤浪晋太郎も、阪神入団後、3年連続二桁勝利を挙げて“卒業”。このほか、“九州のダル”武田翔太(宮崎日大-ソフトバンク)、“松戸のダル”上沢直之(専大松戸-日本ハム)、“前橋のダル”高橋光成(前橋育英-西武)ら“卒業組”がズラリと顔を並べる。

 プロで一流になれば、「○○のイチロー」「○○のダル」の呼称は自然消滅するが、活躍できない選手は、いつまでもそのイメージを払拭できない。これが一部のファンの間で「活躍しない」のジンクスとして流布されているようだ。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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