読むときのポイントは、どの単語に重心を置くか。例えば画像の英文の4 行目であれば、まず「catch up、lines、movies」だけを繰り返し発音する。滑らかに言えるようになったら、「to」「with」「in the」を挿入する。

「強調するのは、文の意味的に大事な単語のみです。そのほかは添える程度の発音でOK です」

 最後の行も、一番重心を置くのは「fast」のみ。母音の「a」を、のどの奥を平たくつぶすようにして「やりすぎなくらい」に伸ばす。

 レッスン後、もう一度自己紹介文を読むと、「5 点満点で2 点だったのが4 点になった」と評価をもらった。改めて録音した自分の声を聞いてみると、まず声にブレスが混じっていて洋画の俳優のよう!

 そして、重要な単語は母音を伸ばして強調しているため、一つひとつ意味を理解しやすい。細かい発音はおぼつかないかもしれないが、これが「英語らしい声の出し方か」と納得した。

 記者に英会話の自信を与えてくれた発音練習。実は、発音スキルの向上以外にも効果があるという。

「発音を学び始めた人は、数カ月で英語の聞き取り力も向上します。これまで文字としてストックされていたボキャブラリーが発音を学ぶことで『音としてよみがえる』のです」

 聞き取れない洋画のセリフが、文字を読むと「こんなに簡単な単語だったのか」と驚いた経験を持つ人も多いはず。ネイティブと同じ発音ができるようになれば、"重心"の置き方が自分でも分かっているため、聞き取れるという。

 ボキャブラリーを「音としてよみがえらせる」。英語を学びなおすなら、まず眠っていた能力を呼び覚ますのが効率的かもしれない。

(文/白石圭)

※「AERA English 2020 Spring & Summer」から抜粋