「フランスは犬に関しては寛容な国。お店の軒先に犬のリードをかけるためのホックがあったり、デパートやブティックも犬と入店できるところが多かったり。もちろん食品を扱う店は別ですが。ですから今回の制限下でもストレスは少ないですね」

 犬の散歩をする飼い主以外にも、例外として認められている範囲で、小さい子どもを連れた家族の散歩や、ジョギングする人などをよく見かけたという。

 ただ、その後、フランスでは感染拡大が止まらず、4月8日からは、パリで日中の運動が禁止された。

 こうした「先行事例」をみると、外出が不安になるが、家に閉じこもることでの健康への影響を懸念する声もある。内科医の山本佳奈医師は話す。

「まず、家にこもることでストレスがたまります。それは免疫力低下にもつながります。そして、運動量が減ることで筋力が低下。肥満や、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病への影響が心配されます。密室にならない屋外でしたら、個人の散歩や運動は今のところは問題ないでしょう。むしろ続けてほしいです」

 今回の緊急事態宣言は5月6日までの1カ月。しかし中国の武漢でさえ都市封鎖解除に2カ月半かかっており、ウィルスとの闘いは長期戦になる可能性もある。

「外出自粛が長期化した場合には、健康への影響が出てくるでしょう。というのは、東日本大震災時に避難生活を強いられた状況と似ていると思えるからです。必ずしも同じ条件とはいえませんが、東日本大震災では避難生活を送る人の生活習慣病の悪化、特に脂質異常症のリスクが高まったという研究結果が出ています」(山本医師)

 感染予防と健康管理のバランスをどうやって図るか。ワクチンや治療薬が開発されるまで、気が抜けない日が続きそうだ。
(AERA dot.編集部/鎌田倫子)