『JTB時刻表』1000号の企画について話し合う木村さん(C)朝日新聞社
『JTB時刻表』1000号の企画について話し合う木村さん(C)朝日新聞社
1925年に発行された『汽車時間表 附汽船自動車発着表4月号』は、現在の『JTB時刻表』のルーツ。定価は50銭だった(写真は復刻版) (C)朝日新聞社
1925年に発行された『汽車時間表 附汽船自動車発着表4月号』は、現在の『JTB時刻表』のルーツ。定価は50銭だった(写真は復刻版) (C)朝日新聞社

 列車の時刻を検索するのに今はスマホが全盛であるが、ひと昔前までは、紙に印刷された『時刻表』が主流であった。今でも紙の『時刻表』は毎月発行されているし、実は乗換検索アプリを凌ぐような便利な使い方もある。時刻表のプロである木村嘉男さんに乗換検索には表示されない裏技を教えてもらった。

【写真】1925年の「時刻表」はこちら

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■ここがスゴイ!時刻表(1)一覧性

 乗換検索をすると複数の候補が示される。その中で主に下位のパターンをよく見ると、とてつもなく大回りだったり、1本の列車に終点まで乗車してしまうがために、同方向の後から来る列車に抜かれてしまったり……、など実用的ではない経路が示されることも多い。検索結果を鵜呑みにすると時間や運賃ばかりがかかってしまうことだってある。『時刻表』なら発駅から着駅まで自分の目で順番に経路を追っていくので、このような非現実的な経路をたどることもない。

 また乗換アプリでは最短経路(時間が最もかからない経路)を優先的に表示するため、途中駅から短区間にも関わらず特急列車に乗り換えてみたり、目的地の駅への到着は数分しか変わらないのに、1本後の始発列車に乗る、という選択肢が見えなかったりする。

 よくあるのは新大阪から上りの東海道新幹線に乗るとき。出発時刻を指定すると、直近の山陽方面から来る「のぞみ」に乗ることを指示されることも多く、列車によっては混んでいる場合もある。

 実はそのすぐ後に新大阪始発の「のぞみ」があり、悠々座っていくことができ、東京着の時刻も10分と変わらない、ということもある。走行する列車がズラリと並ぶ『時刻表』では、これらをひと目で合わせて見ることができるのである。『時刻表』はこのような比較検討する「一覧性」に長けているので、ちょっと見比べるだけで時間短縮や快適性を実現することができる。

■実は鉄道よりも航空こそ便利!

 この「一覧性」が発揮される意外なページが、国内線航空時刻のページである。羽田-札幌や羽田-福岡などの幹線路線は頻繁に飛行機が飛んでいるのであまりメリットを感じないが、幹線以外の都市への路線やローカル区間の場合は、自分にとっての最適な時間にどの航空会社の便が飛んでいるのかがひと目でわかるのである。

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アプリは”最短”、時刻表は”最適”が見つけられる