阪神・藤浪は逆風にどう立ち向かう? (c)朝日新聞社
阪神・藤浪は逆風にどう立ち向かう? (c)朝日新聞社

 阪神・藤浪晋太郎に逆風が吹いている。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 制球難に苦しみトレード要員という声も聞こえる中で迎えた今年、復調の兆しも見えたが新型コロナウイルスに感染。それも多数の女性を交えたコンパが原因というから、大きな批判にさらされるのも当然だ。

 プロ1年目から伝統球団の先発を任され3年連続二桁勝利を挙げた。長身から投げ込む威力ある球は健在で、今年で26歳という年齢もまだまだ成長の余地を感じさせる。

「投手としては超一流の素材。イップスの兆候が見られたのはネガティブな気持ちが強くなり過ぎたから。自信を取り戻せれば、荒れ球も大きな武器になる。オフから目の色が変わった。移籍要員であることも覚悟していたらしい。だから藁をもつかむ思いで様々なことに取り組んだ。キャンプから良い感じで来ていた」

 きっかけさえつかめれば復活できる、と阪神球団関係者の期待は大きい。

 オフにはメジャーで流行している投球動作解析をおこない投球フォームから見直した。球団も秋季キャンプから臨時コーチとして中日OBのレジェンド山本昌を招聘、藤浪も積極的に指導を受け手応えを感じつつあった。復活ロードも見え始めた矢先での大トラブルに、藤浪本人の自覚の欠如を指摘する声が多い。

 だが、藤浪の野球への真摯な取り組み方や人間性に関しては、絶賛する声は多い。

「真面目でしっかりした性格。野球が大好きでグラウンドを離れても雑誌や動画などで投球を研究していた。また野球に対して一途で、自分が経験し納得したことしか取り入れない。大物OBアドバイスにも耳を傾けなかった、と批判されたのには自分のスタイルを作り上げたいという気持ちがあったから。そんな投手がこの大事な時期に遊び呆けるのは信じられない」とアマチュア時代から追いかけてきたスポーツライターは、変わらない向上心の高さを絶賛しつつも現状にクビをかしげる。

 周囲からも藤浪のナイスガイぶりに関わるエピソードが出てくる。チームメートの誰とも分け隔てなく接していた、と語るのは大阪桐蔭高時代の後輩選手。「(藤浪は)1年からベンチ入りしていたので、先輩から厳しく当たられたこともあったらしい。だから藤浪さんは僕たちに厳しく当たったことがない。お世辞ではなく、藤浪さんを嫌いという後輩はいなかった」

 また、アマチュア時代から一貫して、グラブやスパイクなど同一メーカーのギアを使い続けるところにも人間性が現れている。

「注目度が高かったので露出度も高い。だから外資メーカーを中心に、多額のお金で引き抜きの話もあった。それでも高校時代から使っているということでメーカー変更をしない。契約金など、他社とは提示額がまったく違うがそれでも本人は高額の方へなびかなかった。男気を感じるので、どんなに調子が悪くなっても支える意向です」(メーカー関係者)

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「野球がしたいのか、阪神の選手でいたいのか」