一方で、今回の自粛は「とにかく家から出るな」ということ。それによって医療崩壊が防げて、みんなの命が守られて、1カ月後の生活につながるんだから。日本中の人が家から出なければ済むわけです。僕も芸人だし、楽しいことが好きだから、こういう時だからこそ楽しいことが大事なのは、もちろんわかる。その考えも賛成です。ただ、コロナの場合はちょっと違うかもしれないなとも思っています。とりあえず、たった1カ月だけは家にいてもらうために、笑いも必要ないぐらい、自粛させることが大事なような気がしています。煽るなという人もいるけど、人が外に出なければ収束するという確証があるのなら、メディアで「出るな」「出るな」と大げさにやってもいいんじゃないかなと僕は思う。いまだに街コンとか行っているような人たちの意識を変えなければいけない。それをやれば明るい未来が待っているんだから。収束した後に、またバカみたいにいろんなことやればいいんです。

 ドイツのメルケル首相は「戦争」という言葉を使っていたし、ニューヨークでは治療するのも野戦病院のような状態になっています。日本でも太平洋戦争以来の危機なんだと思う。みんなで本当にやるしかない。ワクチンや特効薬はどんなに急いでも年単位の時間が必要だと言われていて、ウイルスの広がりを止めるには、今のところ自粛しか術がないわけだから。

 今、テレビに求められているのは、みんなが「今日は家でこの番組が見たいんだ」「必ず家にいなきゃ」と思うようなソフトをいかに作れるかですよね。それも今の状況下で実現できる方法で。そこはテレビ屋さんの腕の見せどころだし、みんなで相当知恵を絞らなきゃいけないと思います。逆に言えば、みんなで考えれば何か見つかるかもしれない。

 下手したらコロナショックによって、テレビが大きく変わるなと思っているんです。なぜかというと、みんなの選択肢が増えていて、自粛で家にいてもテレビにかじりついている人って少ないと思うんです。みなさんネットで配信される映画やドラマを見たり、YouTubeを見たり、ツイッターを見たりしているはず。東日本大震災のときは、ツイッターが出てきたばかりで、みんながテレビの情報に食いついていた。あれから9年で世の中が変わり、地上波のテレビの立ち位置も変わっているんじゃないか。

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テレビのリモート出演「成立してる」