特に「AbemaPrime(アベマプライム)」の現場なんかは、徹底して対策していますね。換気のために道路に面したドアも開けて、スタジオ内が寒いぐらいです。海外と中継をつないだときに、締め切ったスタジオで大人数で収録しているなんてありえないと指摘され、ソーシャル・ディスタンシングを始め、スタジオに入るときにも検温をしたり、必要のないスタッフを入れないということもやっています。

 先週の僕の出番の放送でもソーシャル・ディスタンシングをやってみました。最初は偽善っぽいなと思っていたんですが、結果的にあれは必要だと思い直しました。テレビ画面上で「いまここまでやる必要がありますよ」と見せることによって、街に出たとき、テイクアウトの行列に並ぶときの意識付けになるからです。ハワイに住む友人に聞くと、現地ではジョギング中も人と近づいてしまったら「おっ!」と離れるらしい。お互いに笑顔で挨拶しながらだそうですが。日本はまだそこまでできていないし、視聴者の意識が変わればいいと思う。

 そこで矛盾が出てきているのは、歌番組で司会は離れているのに、大人数のグループが一緒に歌っちゃってたりしているところ。あれはどうなの?(笑) あとはドラマの収録現場や、首相官邸での囲み取材も。記者の中にはマスクを顎にかけてるやつもいたりするし、小池百合子都知事がやっている記者会見も、そこに記者を集めてどうすんだよ!と思う。政府や東京都も大げさすぎるぐらい徹底してやらなきゃいけないし、インターネットを使った中継の記者会見とかテレビ会議形式のインタビューをもっとやることで、民間企業が見習うし、職場の意識も変わると思います。

 最近、東日本大震災のときの自粛と今回は意味が違うなと、よく考えます。あのときは、もちろん余震などで身の危険があるという理由もありましたが、あれだけ多くの方が亡くなったから今は笑っている場合じゃないだろうという意味のものでした。でも、そう言ってばかりじゃダメだよね、こういう時だからこそ明るくやろう!と考える人も出てきて、お笑いやバラエティー番組やイベントが必要とされた。もちろん、全然笑えない人もいたと思うんですが……。

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「日本も太平洋戦争以来の危機」