かつてはアレックス・ラミレス(現DeNA監督)、最近ではランディ・メッセンジャー(元阪神)やウラディミール・バレンティン(現ソフトバンク)のように、日本で長年活躍する外国人選手たちは助っ人の枠を超えてファンからも愛されてきた。彼らのような存在が今後は見られなくなるかも、というのはやはり寂しさを感じずにはいられない。

 現実問題として、各球団の戦力面や編成面でも外国人選手の補強は大きなウエートを占め、なおかつシーズンの行方を左右しかねない重要事項だ。契約問題でマネーゲームになると資金力でメジャー球団に対抗するのは厳しいだろうが、それでも優秀な外国人選手にはせめて数年は在籍してほしいというのが球団側の本音ではなかろうか。一方で外国人選手たちがメジャーで活躍したいと思う気持ちも当然のことなので、これはもう編成担当の腕の見せ所と言うしかないのかもしれない。

 だが、こうした外国人の選手事情に一石を投じる契約が2019年にあった。ソフトバンクとカーター・スチュワート投手の契約だ。スチュワートは1999年生まれで今年の11月に21歳となる若手プレイヤー。しかも高校時代からトッププロスペクトとして注目され、2018年のMLBドラフトではブレーブスから1巡目(全体8位)指名された、掛け値なしの逸材だ。

 そんな彼が日本でのプレーを選択したのにはもちろん理由があり、ドラフト後の身体検査で右手首の異常が認められたことなどからブレーブスとは契約合意に至らず。2019年のドラフト指名を目指して短大へ進学したところをソフトバンクが獲得に乗り出し成功した、というのが来日の経緯だ。

 報道によると契約は6年総額700万ドル(約7億6000万円)で、日本のルーキーと比較すれば破格。だがスチュワートが2019年のMLBドラフトで上位指名され、順調にマイナーで出世できたならば、6年間で稼げた額は700万ドルを優に超えた可能性は高い。

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日米で「Win-Win」のモデルケースが誕生?