子どもがいる個人事業主の世帯で活用したい制度が「小学校休業等対応支援金」。休校による子どもの世話のため、発注者からの仕事を休まざるを得ない個人事業主は1日あたり4100円の給付を受けることができる。

「一見低いように見えますが、1カ月間で20日間働くとすると、月8万円以上になる。ちゃんと使えば、家計の大きな助けになるはずです」(藤川さん)

▼問い合わせ先:学校等休業助成金・支援金、雇用調整助成金、個人向け緊急小口資金相談コールセンター0120-60-3999(9~21時)

■万が一、感染した場合の救済制度

 感染して就労ができなくなれば、収入の確保はいっそう困難になる。会社員であれば傷病手当金を利用すれば、欠勤4日目以降、日収の約3分の2の額が支給される。加入している公的健康保険に申請すれば受け取ることができる。

 また、「通勤や業務中に感染した可能性が高い」と認められる場合は、労災保険の休業補償が受けられる。治療費が全額支給されるうえ、欠勤期間の給与の8割が支給される。ただし、健康保険の傷病手当との併用はできないので、労災認定の望みがあるのなら、まずは補償の手厚い労災保険から申請を。

■最後の一手 解約返戻金の一部借り入れや、各種支払い猶予

 生命保険の「契約者貸付制度」を利用すれば、保険を継続したまま解約返戻金の一部を借りることができる。通常は金利がかかるが、感染拡大を受け、多くの保険会社が9月30日まで利息免除の特例措置を始めている。

 難をしのぐ方法としてほかに考えられるのは、固定支出をおさえることだ。支払い猶予の対応例として、次のようなものが挙げられる。

【生命保険】臨時措置により、生命保険料の支払い猶予期間が9月末まで延長されている。支払い猶予をする場合は契約した保険会社に電話し、支払いが困難であることを伝えればOK。

【電気・ガス・水道・電話料金】休業や失業により支払いが困難な場合に限り、猶予の相談が可能。それぞれの供給事業者・契約会社に電話で申し出をする。

【税金】所得税や相続税など、納付が困難な場合には1年間の猶予がされる。詳しくは国税庁のホームページで確認できる。

【健康保険】国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料は、自治体によって支払い猶予に対応しているケースがある。

【奨学金】日本学生支援機構をはじめ、実施団体の中には減額返還や支払い猶予に対応している場合も。

「さまざまな支援策が出ていますが、貸付や猶予はお金がもらえるわけではないので注意が必要です。ただし、コロナは長期戦になる可能性が高い。十分ではないかもしれませんが、まずは時間稼ぎをするべきです」(藤川さん)

■事業主が利用したい助成制度

 従業員を抱える事業主なら、休業手当をまかなうための「雇用調整助成金」の利用を検討したい。最近1カ月の生産指標が、前年同期に比べて5%以上減少した場合に対象となる。助成額は、大企業では休業手当のうちの4分の3。中小企業であれば手当の9割(1日あたり8330円が上限)が助成されるため、事業者の負担は大幅に減る。

 4月1日から助成の要件が緩和され、雇用保険に入っていないアルバイトやパート従業員なども適用の対象になった。ただ、手続きが複雑なので、藤川さんは社会保険労務士など専門家への相談を勧めている。

「待っているだけでは誰も救ってくれません。こうした制度をしっかり利用して、この難局を乗り切りましょう」(藤川さん)

(AERA dot.編集部・飯塚大和)