ファイナンシャルプランナー・藤川太さん(c)朝日新聞社
ファイナンシャルプランナー・藤川太さん(c)朝日新聞社

 安倍首相は4月7日、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を踏まえ、7都府県を対象にした1カ月間の緊急事態宣言を発令した。前日の記者会見では緊急経済対策の財政支出が39兆円と過去最大になると表明。事業規模は約108兆円にのぼるという。ただ、その実効性はまだ見えず、経済活動の縮小は避けられない。このまま指をくわえて政府の対策の実行を待つだけでいいのだろうか。

お金の問題は深刻です。使えそうな制度を利用せずに放っておいたら、会社も家計もつぶれます」

 こう話すのは、ファイナンシャル・プランナーで「家計の見直し相談センター」代表の藤川太さんだ。

「インターネット上では、諸外国と比べて政府の支援が弱いといった批判が目立ちますが、他人の芝は青く見えるだけ。策が出るのが遅いのは否めませんが、日本の補償制度自体は他国と大差ないのです。最近は日本でも緊急特例で雇用調整助成金などが拡充されています。嘆く時間があるのなら、手遅れにならないうちに現状の制度をうまく利用するべきです」

 藤川さんのアドバイスに基づいて、お金に困ったときに利用できる制度を見ていこう。

■休業や失業で利用したい支援制度

 休業で所得が減った場合に使いたい制度が、無利子で資金を借り受けられる「個人向け緊急小口資金」だ。正社員だけでなく、非正規労働者や個人事業主も対象に含まれる。本来は年収100万~200万円ほどの低所得者向けの支援制度だが、コロナウイルス感染拡大の特例措置として、収入の減少で生計維持が困難になった場合にも、最大20万円の貸し付けを受けることができる。

「貸し付けのため返済義務が生じますが、最長1年の据え置き期間を終えた時にも所得の減少が続く場合は返済が免除され、実質給付になるんです(住民税の非課税世帯であることが条件)。相談する価値はあります」(藤川さん)

 失業した場合には、上記の緊急小口資金だけではなく「総合支援資金」も適用される。単身であれば月額15万円以内、2人以上の世帯であれば月20万円以内の無利子貸付を最長3カ月間受けることができる。こちらの制度は原則として、自立相談支援などを継続的に受けていることが条件となる。どちらの支援も市区町村の社会福祉協議会が実施している。

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お金がない…耐えしのぐための支援はほかにも