Q.伝統校・新進校・宗教系学校の特徴は?
A.文化や機動力など異なる利点。見学は必須!

 宗教系は世界的なネットワークがあるので留学しやすいという利点も。伝統校は学校文化があり、安定感がある。逆に新進校は伝統にとらわれず新しいことに挑戦する機動力があります(森上)

 伝統にあぐらをかいている学校は要注意。また、新進校のなかには、流行を追いかけて中身の薄い教育の学校もあります。じっくり見学して確かめた方がいいでしょう(矢野)

 宗教系でも必ずしも信者である必要はなく、キリスト教系の学校でも、クリスマスなどの行事や賛美歌の斉唱を純粋に楽しむ女生徒も多いです。カトリック校のなかには、志望動機に信者であることを書くと優遇してくれる学校も(安浪)

Q.新タイプ入試の注意点やコツは?
A.まずスタンダードに4科の勉強を

 算数1科や2科の入試も増えていますが、その場合も、4科を勉強した生徒の方がいい点数をとってきます。中学に入ってからのことも見すえ、まずはしっかりと4科の勉強を。学科以外の新タイプは対策が難しいので、第2第3志望で+αとして選択するのがいいと思います(安浪)

Q.志望校に偏差値が10ポイント足りません……
A.後悔しないようにしつつ、安全校も確保して

 その学校に行きたくて中学受験を始めたのならあきらめない。そうしないと「あの時受けておけば」と後悔することになります。そのかわり、ちゃんと安全校を併願に組み込んでください。また、過去問との相性がよければ、チャレンジ校でも合格する可能性があります。答案を塾の先生に見てもらって、戦略を錬りましょう(矢野)

Q.併願校は何校ぐらい? 上手な組み方は?
A.第一志望合格者は4人に1人。併願選びはしっかりと

 東京、神奈川の受験生なら1月に2校、2月からは3~4校出願し、進学先が決まった時点で終わりとなります。1月中に1校は合格をとっておきたいですね。午後入試を行う学校も増えていますが、子どもの様子を見て決めましょう。負担の少ない2科や1科を組み合わせても(安浪)

 いろいろな入試が導入されネット出願できる学校も多くなり、選択肢が増えました。ただ過去問対策は限界があるので、1月2校、2月に3~4校が限界でしょう。ちなみに本校の生徒の平均受験校数は約6校です(矢野)

Q.「1月のお試し受験」は必要ですか?
A.本命受験のために不合格も経験したい

 2校併願し1校は合格、1校は不合格が理想です。お試しのうちに落ちる悔しさを味わって、悪かった点を振り返る。それが2月の本命の受験に生かされます。たとえ第一志望に入れなくても「いい学校に受かってよかった。がんばったね」と言ってあげてください。親のその言葉で、子どもは中学受験を完結できるのですから(矢野)

(文・柿崎明子)

※AERA進学MOOK『カンペキ中学受験2021』より