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苦しむ高梨沙羅が、シーズン終盤に掴んだ一勝は「本物」なのか?

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苦しむ中でシーズン終盤に勝利を掴んだ高梨沙羅 (c)朝日新聞社

苦しむ中でシーズン終盤に勝利を掴んだ高梨沙羅 (c)朝日新聞社

 それもあってその後の1月から2月にかけてのヨーロッパ遠征では、4位が最高で16位に沈む試合もあるなど力をうまく出し切れず、蔵王大会で王手をかけたW杯女子最高の100回目の表彰台もなかなか達成できなかったのだ。

 だが3月に入ってから男子と同じ会場で行われた北欧シリーズでは、悪天候でキャンセルとなったオスロ大会の代替えで行われた9日のリレハンメル大会では、1本目に追い風2・56mの悪条件の中で120・5mを飛んでトップに立つと、2本目は2位となるジャンプでルンビーの追撃を振り切ってシーズン初勝利を挙げ、男子のヤンネ・アホネン(フィンランド)の108回に次ぐ史上2位の100回目の表彰台達成に花を添えた。

 ただこの日は、秒速1・59mから3・54mまでの追い風が吹く悪条件の中の戦いで、ほとんどの選手が空中で安定せず、着地でしっかりテレマークを入れられない悪条件の戦いだった。また1本目4位だったルンビーが追い風が1・64mと弱まった中でヒルサイズ(140m)に迫る139mを飛んだことでゲートが1段下げられ、127・5mに止まった高梨がそのゲートファクター6点のアドバンテージを利して1・5点差で逃げ切れたという幸運もあった。

 翌日の第2戦は、前日とは変わって向かい風の戦いになった。だが札幌大会で「追い風の方が空中でスキーをうまく操れる感じだが、まだ向かい風になると逆にそれが抵抗になってしまい、浮力をうまく捕まえられない」と言う弱点が出てしまったのか、2本とも110m台で8位に止まるという結果になった。

 まだ試したいことがあったという言葉は、久しぶりの勝利で得た感触をしっかり自分のものにしてシーズンを終わりたかったという思いだろう。

 だがシーズン終盤になっての1勝は、高梨自身にとってはモヤモヤしていた気持ちを晴らし、勇気を与えられるものになった。さらに海外のライバル勢にとっても、その存在感を印象付けるものになった。

 今季は表彰台3回での総合4位だっただけに、終盤の1勝は彼女にとって、来季へ向かう大きな力になったはずだ。(文・折山淑美)


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