演劇界ではほかの舞台もほぼ中止になっている。開演していたとしてもお客さんが感染を恐れて足を運ばないケースも多いようだ。

「日本は世界で一番劇場が多い国と言われていますが、主要な劇場だと2年先まで埋まっているため、振替公演をするのも至難の業。もう、天変地異だと思ってあきらめるしかありません」(前出の脚本家)

 映画業界でも、公開延期が続々決定している。TVウオッチャーの中村裕一氏は、コロナショックが直撃した今のエンタメ界をどう見ているのか?

「映画やドラマに関しては、俳優のスケジュールを優先して短期集中で一気に撮影を終了させるこれまでの撮影スタイルが崩れ、新しい方法を模索せざるを得なくなるでしょう。当面の間、映画は公開延期、ドラマも全話を放送することは難しくなるかもしれません。苦肉の策として、ゴールデンタイムに海外ドラマを流すという方法もあるかもしれませんが、効果は未知数です。映画に関してはプロモーション費用なども含め、その損害は甚大なものとなることは確実です。私たち視聴者としては、家でひたすら読書をしておとなしく過ごすか、NetflixやAmazonプライムのようなサブスク配信の作品を片っぱしから観るしかないでしょう。コンテンツ量としては1カ月ずっと家で観まくっても制覇できないほどあります。人気の出た配信作品からインスピレーションを得て、新たなヒット作が生まれてくることを期待したいですね」

 新型コロナウイルスの感染拡大はあらゆる産業や業界で甚大な被害をもたらしている。早期の終息を願うばかりだが、それでもロケ現場や劇場という最前線で戦い続ける人々の存在が、エンタメの灯を消さないでいてくれる。我々ができることは、感染拡大予防をしながら、彼らの思いをメディアを通してしっかり受け取ることなのかもしれない。(藤原三星)

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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