この二人と比較すると、トゥルソワはシーズン当初の勢いが終盤になって少し落ちてきた印象がある。ジャンプを武器とするトゥルソワは多種類の4回転、またトリプルアクセルにも果敢に挑戦してきたが、その分失敗も多かった。身長が伸びていることが影響しているかどうかは分からないが、現在15歳のトゥルソワはこれから体型の変化という問題に直面する可能性もある。女子シングルのジャンプに革命を起こしてきたトゥルソワには、難しい時期を乗り切り、来季も驚くような滑りを見せてほしい。

 トリプルアクセルを武器に今季の四大陸選手権で2位になったユ・ヨン(韓国)も、来季さらなる成長が期待できる。そして、ヨンは紀平とは同じ濱田美栄コーチの下で練習しているチームメイトでもある。エテリ門下生であるロシアの3人が、練習から高いレベルで競い合うことで強くなっていることを考えると、紀平とヨンも恵まれた環境にあるといえ、来季への期待は高まる。

 今季驚異的な進化を遂げた女子シングルが、来季はどのような展開を見せるか、楽しみにしたい。(文・沢田聡子)

●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」