■どうすれば勝てるか必要なことを準備する

 僕がクイズと出合ったのは、開成中学の1年生の時です。部活紹介でたまたまクイズ研究部のブースをのぞいたことがきっかけで入部しました。当時は高校生もふくめ部員数が1桁という小さな部でしたが、のびのびと活動できたことが楽しかったです。

 中学1年生の夏に、高校の先輩の応援で同行した全国高等学校クイズ選手権。部活ではあんなに強かった先輩が他校の先輩にボロ負けしたのを見て、「世界は広いな」と驚くと同時に、「クイズで勝つってかっこいい」という憧れの気持ちを抱きました。

 その経験をきっかけに、「どうすればクイズで勝てるのか」を考えるようになり、問題の傾向を考えて勉強したり、他校に出稽古に行ったりと本格的にクイズ研究会の活動に取り組みました。中学2年生の夏には先輩たちが準優勝。学校のバックアップが手厚くなったこともあり、「自分たちが高校生になったら絶対に優勝しよう」と決意しました。そのため中学3年生のうちから、出場校の知り合いに連絡して情報を収集するなど、徹底的に準備しました。結果、念願の優勝を果たすことができました。

■クイズで得た知識が世界を広げてくれた

 クイズのための勉強は受験勉強に似ているところがあります。自分の不得意な分野でも、「クイズに勝つ」「受験に合格する」という目標があれば学ぶモチベーションにつながります。

 きちんと覚えるまでくり返すこと、間違った問題は復習して正しくインプットし直すことが重要なのも同じです。また、「クイズは発想力が必要」と言われますが、発想力のベースは知識や経験です。算数と同じで、問題をたくさん解くことで、似た問題に出合ったとき応用できるのです。正しい知識を自分の頭の中に整理して納め、必要に応じて素早く引き出す訓練が大切なのです。

 僕の場合は、もともとクイズで勝つために勉強をしてきましたが、ジャンルを問わずに学んできたことで、新しい世界を知る楽しさに気づきました。まったく知らないことを学ぶのは骨が折れますが、それが自分の中の知識とつながると、一気に理解のスピードが早まり、未知の世界へも親近感を持つことができます。

 多くの人にとって、クイズが新しい知識にアクセスするためのきっかけになり、クイズで得た知識をもとに、新しい世界が自分自身と地続きになる喜びを知ってほしいと思っています。

文=林 郁子(美和企画)

≪プロフィール≫
いざわ たくし/ 1994 年生まれ、埼玉県出身。開成中学校・高等学校、東京大学経済学部卒業。中学1年生から開成学園クイズ研究部に所属し、高校1、2年次に全国高等学校クイズ選手権で史上初の2連覇を達成。大学進学後は東京大学クイズ研究会に所属し、「東大王」(TBS)を始めとする多数のクイズ番組に出演する。現在、クイズを通して世の中のことを知るWeb メディア「QuizKnock」などで活躍中。

※AERA進学MOOK『カンペキ中学受験2021』より