メンタルが安定することでロケーションを有効活用できる。ロケーションとは左右高低のストライクゾーンだけでなく、打者のタイミングを狂わす奥行きなども含まれる。それこそがピッチングの生命線であり、実戦登板では常に大事にしているという。

 サウスポーの吉川は12年に14勝(リーグ2位)を挙げ、最優秀防御率(1.71)とリーグMVP獲得など大活躍。しかし、その後はエースとして期待されるなかで思ったように結果が出せず、16年オフに巨人に移籍したのち、2019年6月26日に日本ハムに復帰した。

 先発陣に左腕の吉川が加わると、バリエーションが一気に広がる。「辞める覚悟で、その気持ちでやりたい」と吉川本人は悲壮な覚悟も口にするが、周囲の期待はそれ以上に大きい。ある解説者は「打ちにくい投手という印象。真っ直ぐは速くないけど、打者はうまく捉えられない。力で抑え込むというタイプではないから復活は十二分に可能。ストライクゾーンの中で勝負できればそうそう打たれないと思う」と評価する。

 そして、忘れてならないのが斎藤だ。かつて甲子園を沸かせた『ハンカチ王子』も31歳とベテランの域に入ってきた。2年連続1軍無勝利だが、今オフには新たな練習方法を取り入れるなど、現状打破に向けて必死に取り組んでいる。

 日ハムOBの一人は「球速や球威はあまりないが、斎藤の武器は制球力と、試合を作る能力があること。これはアマチュア時代から一貫している。打者との駆け引き、緩急、捨て球、ボール球の使い方をうまく活かすことができれば、戦力になれる。昨年、オープナーでの登板があったのも短い回なら試合を作れるから。首脳陣がしっかり適材適所を見つけてうまく活用して欲しい」と戦力としての斎藤に大きく期待している。

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投手陣のポテンシャルはリーグトップクラス