そして3代目となったのは新日本ジュニアの未来を期待されていた金本浩二。92年3月1日、横浜アリーナでの記念試合のみ変身予定だったが好評のためその後も継続し、93年5月3日、福岡ドームでの獣神サンダー・ライガー戦で正式デビューを果たした。真っ向勝負のスタイルを好む金本は、周囲が抱くタイガーとのイメージ差に悩んだ。結果、94年1月4日、東京ドームでのライガー戦後に自らマスクを脱ぎ捨てた。ちなみに金本は『兄貴』と呼ばれており、当時、阪神・金本知憲が同様にそう呼ばれていたことから、虎つながりの阪神ファンには熱烈に応援されていた。

 4代目は95年7月15日、後楽園ホール『’95格闘技の祭典』のザ・グレート・サスケ戦でデビュー。デビューから虎のマスクをかぶっている点が、これまでの3人とは異なっている。また初代・佐山氏の指導を受けたことでも有名。みちのくプロレスを経て02年から新日本に参戦し、IWGPジュニアなど多くのタイトル獲得歴がありWWF(現WWE)など海外経験もある。関節技に精通しており、時折見せる非情攻撃には殺気が宿る。また巨人ファンとして知られ、巨人春季キャンプ訪問は恒例行事。自ら持参したマスクを原辰徳監督にプレゼントしている。

 その後も10年7月18日、マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟の真樹ジム主催興行では5代目が登場、初代とタッグを組み話題になった。そして新日本の16年10月10日、両国国技館ではテレビアニメとの企画でタイガーマスクWが出現。その他にも男女問わずタイガーの派生系は多く、時を越えても存在感を感じさせる。

 試合会場ではタイガーの試合になれば、ちびっこファンがマスクをかぶる光景は変わらない。他競技でも開幕延期中のプロ野球では、タイガーマスクをかぶって応援する阪神ファンも多い。ジャンルを跨いで多くのファンが存在するタイガーマスクは、いまだ時代を超えたヒーローなのだ。