「ウイルス対策はシンプルなものしかない」と林氏は語る。飛沫感染させないためのマスク着用と、接触感染を防ぐための手洗いだ(写真:Gettyimages)
「ウイルス対策はシンプルなものしかない」と林氏は語る。飛沫感染させないためのマスク着用と、接触感染を防ぐための手洗いだ(写真:Gettyimages)

 新型コロナウイルスの影響で小中高校の多くが休校し、そのまま春休みに突入した。東京都では26日に週末の外出自粛要請が出されるなど、親子が自宅で一緒に過ごす時間はこれまでにないほど長くなっている。この機会に、事態を引き起こしたそもそもの原因「ウイルス」とはいったい何なのか、親子そろって理解を深めてみるのはいかがだろうか。(朝日新聞出版ジュニア編集部)

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「ウイルスという目に見えない敵に対しては、やみくもに恐れてはいけないのです」と語るのは、医師で医療政策アドバイザーの林昇甫氏だ。

「仮面ライダーエグゼイド」の企画・医療監修を努めたこともある林氏は、大人だけではなく子どもに対して医学の知識をどう楽しく、そして正しく伝えるかにも力を入れて取り組んでいる。

 子どもも大人も、「そもそもウイルスとは何か、どう向き合うべきか」を知るべきだと指摘する林氏はさらに、「新型コロナに限らず、ウイルスに対して個々人ができる基本的な対策はシンプルなものしかない」と話す。

「感染拡大を防ぐためには『人から極力うつされない、人に極力うつさない』ことをどれだけ意識して、正しく実践するかにつきる。そのためには、口元から飛沫感染させないよう正しくマスクをつけ、接触感染しないよう正しく手洗いをする、これしかないんです。コロナウイルスに限らずほとんどのウイルスで、この基本は変わらないです」

 ウイルスは、多くが手から口、鼻などを経由して感染する。正しいマスクの脱着法を実践し、石鹸と流水でしっかり手からウイルスを洗い流せば、感染のリスクはぐっと低くなる。

「ウイルスを過剰に恐れず対処するためには、ウイルスとは何かという『知識』で武装することが大事です」(林氏)

 とはいえ、親がいきなり「ウイルスについて勉強しなさい!」といっても、子どもは動かないだろう。子どもにウイルスに興味を持たってもらうためのアプローチの一つは、ヒトとウイルスが戦い続けてきた歴史やウイルス研究の「奥深さ」を伝えることだと林氏は言う。

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福井洋平

福井洋平

2001年朝日新聞社に入社。週刊朝日、青森総局、AERA、AERAムック教育、ジュニア編集部などを経て2023年「あさがくナビ」編集長に就任。「就活ニュースペーパー」で就活生の役に立つ情報を発信中。

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