■TBSドラマが佐藤健を育てた!?

 一方で「恋つづ」のTBSとの関係を指摘する声も。前出のプロデューサーは言う。

「佐藤さんはここのところNHKとTBSドラマとの相性がいいイメージがあります。テレビ朝日の『仮面ライダー電王』で人気になり、その後はいろんな局にまんべんなく出演して主役を張っていますが、例えばライダーの次に話題になった『ROOKIES』(2008年)の頃から、TBSのプロデューサーが熱心だったと聞いています。それ以降、『とんび』『天皇の料理番』『義母と娘のブルース』などのヒット作はだいたいTBS。しかも主演の2番手だったり、ヒロインの相手役など、目立つけれど批判の矢面に立たない絶妙なポジションに配役されていた印象です。佐藤が今の地位を築けたのも、TBSの功績が大きいと思います」

 ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、そんな佐藤の魅力についてこう分析する。

「バックハグからのキス、後ろからドライヤーで髪を乾かしてあげる、ずぶ濡れのヒロインにそっと傘を差し出すなど、ベタな演出とありえないシチュエーションの連続だった『恋つづ』でしたが、ついつい最後まで見てしまう人が多かったのは、たとえどんな役でも真摯に取り組む彼の芝居に対する姿勢が見る人に伝わったからではないでしょうか。公開前は不安視されていた映画『るろうに剣心』も、もはや彼以外では考えられないほどのハマり役で、新型コロナウイルスの影響が懸念されるものの、夏に公開予定の最終章二部作も大きな期待が寄せられています。突拍子もない設定や役柄でも『もしかしたらあり得るかも』と思わせるナチュラルでリアルな説得力、それが彼の魅力でしょう。30代に入り、どんなキャリアを積み重ねていくのか非常に楽しみです」

 ドラマ・映画・CMそしてネットでも順調に数字を積み重ねてきた佐藤健が、絶対的な地位に上り詰めたことは間違いない。(黒崎さとし)