■忍耐力を培うチャンス

 彼女のためを思って、いろいろ尽くしてきたのにとてもショックな体験をされましたね。伝えて真意を問いただしたい気持ちは非常に理解できます。

 ただ、それでもまずは彼女の病気を心配してあげましょう。

 病気は人を変えます。健康を害するウイルスが世界的に蔓延したことで、これだけ社会の雰囲気を変えていることでわかるように、「健康を保てなくなるかもしれない」という恐れだけでも非常に大きなストレスを生みます。

 ましてや、いざ自らが病気になればその痛みや症状が、精神状態に影響を与えることは当たり前のことです。しかも余命幾ばくもないのであれば、その心情ははかりしれません。

 自分の健康に感謝するとともに、病気である彼女に寄り添い思いやりで接しましょう。

 思う存分インターネットで愚痴ってもらえばいいではないですか。彼女の病気のストレスのはけ口になれているならよかったではないですか。

 友人はとても大切な存在です。あなたが彼女のブログを見てしまったことは、もちろん伝えるべきではないでしょう。すっきりすることの対価が、長年の友人を傷つけることだけだなんて寂しすぎます。

 それよりも彼女の病気が少しでもよくなるように、物心ともに応援してあげるべきです。

 あなたにできることは、彼女にどう思われようがとにかく励まして、回復してよりよい人生を楽しんでもらえるように応援することです。

 それによるあなたのストレスも大変なものですが、そもそも人生そのものが「苦」です。

 忍耐力こそが人生で最も大事なスキルです。特にコロナ禍のこれからの時代、人間の生存力そのものが問われますが、その中でも忍耐力が最も求められます。

 今、それを獲得するチャンスです。

 ストレスに負けない忍耐力だけではなく、ストレスをかわしてでも付き合っていくスキルです。

 この世に生を受け、その年齢まで生き抜いてこられたわけですから、自分に自信を持つことです。心の持ち方は「すべて自分に起こることは最善のことだ」と腹をくくって開き直ることです。

 あなたは、いつか必ず彼女を許すことができます。

 今を生きましょう。

 不安やストレスは仕方なくわれわれを襲ってきますが、それを常に感じていても幸せになりません。あるがままに開き直って受け止めることです。

 私は、どんなときも友情をあきらめません。友達はとても大事な存在です。苦しい時こそ支え合うべきです。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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