今回の『ワニ』に対して、「騙された」「仕込みだったんじゃないか」ってモヤモヤする人ほど、ネットで金儲けしよう、商売しようとする人にとっては良いカモなんですよね。それだけ純粋に見て、陶酔しちゃう人だから。がっかりした人ほど気をつけた方がいいと思います。

 まあ炎上と言っても、批判的な書き込みをしている人って実はごく少人数なんですけどね。僕が心配するのは、裏側とか大事な部分が読めない人が増えているということです。

 何年も前から言われていることですが、例えば、テレビやラジオやSNSでの誰かの発言がネットニュースで切り取られ、独り歩きしていても、ちゃんとその情報源に当たって批判する人は少ないですよね。どんな文脈で言われたのか調べもしないで、好きだ嫌いだと判断するわけです。そしていつもなぜか結局は安倍政権の支持・不支持に集約されていくから笑っちゃうんですよね。

 僕も先日、ゲストで出させてもらったラジオで、カンニング竹山が世相を斬るみたいなコーナーがあり、5GがどうなるとかYouTubeがどうなるとかしゃべったんです。そしたらそれがネット記事になり、SNS上で意見合戦になっていました。今月、僕が福島に行ったことについても、一部の反原発の人が批判していました。避難指示が解除された地域についてツイッターで「新たな街ができていく」と書いたんですが、「ここにはまだ住めない」とか「デマだ」とか……。僕は今すぐ住めるとは言っていないのに、批判したいだけの人は僕のツイッターなんかまともに読んでもいないんですよね。

 意見としては何を言っても良いんですが、会ったこともない僕のことを「竹山」と呼び捨てにしていたら、批判してやろうという意図が見え見えで、残念だけど議論にもならない。結局は自分にとって敵か味方か、どっちに賛同するかというわかりやすい構図に当てはめているだけで、中道がなくなるのがネットです。だから意見が二分されてしまうし、それが結局は安倍政権に対する支持・不支持という話になる。言葉尻だけとらえ、文脈とか原文をチェックしてみるとか、そういう思考が抜け落ちているんですよね。

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ネットが普及する前から?