フォームを改造したことで大投手となった斎藤雅樹 (c)朝日新聞社
フォームを改造したことで大投手となった斎藤雅樹 (c)朝日新聞社

 いまだ新型コロナウイルスによる混乱に収束が見通せない状況が続いているが、それでも選手たちは来たるべき日に備えて調整を続けている。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 今年は菅野智之(巨人)を筆頭に、増井浩俊(オリックス)や山井大介(中日)、鍬原拓也(巨人)といった面々が「投球フォーム改造」に着手し、野手では山川穂高西武)や京田陽太(中日)、中島宏之(巨人)らが「打撃フォーム改造」に取り組んでいる。果たして、彼らの“挑戦”は成功するのか。その結果を待つ前に、過去にフォームを改造したことで飛躍を遂げた選手たちを振り返ってみたい。

 近年では広島の大瀬良大地の名前が挙がる。プロ入り後しばらくは潜在能力を生かし切れていないシーズンが続いたが、2018年に解禁されたばかりの「2段モーション」を取り入れると、一気に安定感が増し、自信満々のピッチングで同年、最多勝、最高勝率のタイトルを獲得。新エースとなってチームのリーグ3連覇の立役者となった。

 少し昔になると、「平成の大エース」と呼ばれた巨人の斎藤雅樹だろう。高校時代はオーバースロー。高卒ドラ1での入団も不安定なピッチングで首脳陣の評価も芳しくなかった一方で、守備練習で軽快な動きを披露し、内野ノックの際にはショートの位置から一塁へ矢のような見事な送球を何度も繰り返していたことで野手転向も検討されたという。しかし、その様子を見ていた当時の藤田元司監督からの助言で、守備練習時と同じようにマウンド上でも腕を下げてボールを投じると、一気に才能が開花。2年連続20勝に最多勝5回、最優秀防御率3回など、輝かしい成績を残すことになった。

 この斎藤と同じように、サイドスローに転向したことが覚醒のキッカケになった投手は多く、ソフトバンクの森福允彦はプロ2年目の秋季キャンプでサイドスロー転向に取り組み、4年目からは鉄壁のリリーフ陣の一角として活躍し、日本一にも大きく貢献した。また、巨人の角盈男は、プロ1年目に新人王を受賞しながら制球難に苦しんでいたために2年目の秋に変則サイドへと転向し、課題のコントロールを改善させて長期間に渡って活躍。阪神の吉野誠も3年目からサイドスローとなってブルペンを支えた。

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打者のフォーム改造はポピュラー