ただ、そんな中でも一筋の希望になりそうなのが、Bリーグ千葉戦で衝撃的デビューを飾った三遠ネオフェニックスの河村勇輝(福岡第一高校)だ。172cm、63kgとバスケ選手としては非常に小柄だが、その体格差を持ち前のアジリティの高さでカバーする。 圧巻だったのはデビュー2試合目の同じく千葉戦。相手にブロックされ、体勢を崩しながらも決めたシュートだ。もちろんバスケットカウントももらった。いつもは感情を表に出さない河村もここぞとばかりに、ガッツポーズが自然と出た。

 彼が示すアジリティの高さがまさに現代バスケの象徴だろう。低い位置でのドリブルからクイックで相手をかわす。細かいステップのノールックのフェイント。姿勢が崩れないプレーから視野の広さで通すパス。

 データ化された現代バスケで彼の情報が少ないとは言え、それでも観客も魅了するプレーは一見の価値がある。しかし、4月から大学への進学が決まっており、3月いっぱいでBリーグでのプレーが早くも一時見納めとなってしまう。新型コロナウイルスの影響によりこのまま見られずに終わる可能性も否定できない。

 ワールドカップ以降では初のアカツキ5の試合が2月24日に行われた。残念ながら河村の名前はなかった。それでも帰化したライアン・ロシターが素晴らしいアジリティの高さで大活躍。また新たな武器を手に入れた。

 東京五輪に向けて再スタートを切ったアカツキ5。この数カ月でチーム全体のアジリティが急激に変化するとは思えないが、河村のスピーディなバスケこそが「子ども」から成長できる大きなポイントとなるのではないか。そのアジリティこそが日本バスケを大人へと成長させてくれるだろう。