70歳古希を迎えて「日本プロレス殿堂会」を立ち上げることになったんだけど、これは旗揚げってのとはちょっと意味合いが違うね。こういう話ってプロレス界では出てきては立ち消えになって、過去にも何回か同じような話はあったんだよ。今回は、同じ頃にプロレスの第一線で働いていた親たちの活躍を見てきた子どもたち、藤波選手の息子、長州選手の娘婿、そして、うちの娘が発起人となって、「プロレスはプロと名に付くスポーツなのに相撲とか野球とかとは全然違う。辞めたら辞めたきりでこのままじゃおかしいだろう」と疑問を抱いて立ち上がってくれた。

 俺たちの世代”鶴藤長天(かくとうちょうてん)”って呼ばれた世代の上って、馬場さんと猪木さんしかいないから、そこが抜けると、長州選手、藤波選手と俺くらいしかいないんだよ。その俺たちの次の世代、たとえば武藤とかそれより下の世代の選手たちに、何某かの還元がされるような仕組みになればいいなという発想。例えば日本プロレスには歴史があるわけだから、そういった物や事を残していく事で過去の映像や写真を使用したら、選手に還元されるとかそういうもの。

 プロレス界では今まで、選手に還元されるものが何もなくて、長州選手も藤波選手もこの考えに「いいね」って同意してくれた。たまたま猪木さんも奥さんを亡くされたり色々な事があった時期なのに話に乗ってくれた。坂口さんとか他の上の選手たちや新日本プロレスとか他の各団体にはうちの娘が声をかけて賛同を得ることができた。

 子どもたちの世代だから話がまとまったと思うんだよね。俺たちの世代だったら「こんな事言い出しやがって!」とか否定から始まると思う。ところが、親父たちが懸命に働いている姿を見てきた子どもたちは、「このままじゃ恵まれないな」というところで話が合ったんだと思う。意見が一致したのならば、それを形にするにはどうしたらいいかという事の方が大事。推し進めていくしかないことで、立ち止まって躊躇していたら結局は前と同じで、雲消霧散するに決まっている。

 どっちみち、こういうものを立ち上げると、賛成派と反対派が出るんだよ。賛成派の声を大きくして、反対派の声を潰していくしかない。文句だけを垂れるヤツはどこにでもいるんだよ。それは百も承知のこと。プロレス界はそういう文句ばかり言っているヤツが多い。文句は垂れるけど、技術が伴ってないヤツが多い!それがプロレス界です!(笑)

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決断を迫られたときに思う「天龍源一郎がここで萎れてたまるか!」